『鳥の島』空を埋めつくした鳥たちは幻だったのか? 壮大なロマン。

「鳥の島」川端誠 ビーエル出版

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『鳥の島』(川端誠・作 BL出版)

落語絵本などで大人気のベテラン絵本作家、川端誠さんの最初期の作品です。

平和なふるさとを捨て、未知の大空へ、海の向こうの新天地を目指し飛びたった鳥たちがいました。
しかし海は果てしなく広く、鳥たちは力尽き、落ち、沈んでいきます。
なんとそれが何百年、何千年と繰り返されたのです。
そして今また一羽の鳥が飛びたちます。
数限りない仲間のむくろを呑みこんだ海を、鳥は越えられるでしょうか。

この絵本は紙粘土で作られています。いや本は紙で作られていますが、原画は紙粘土で半立体に作り上げ着色したものです。その独特の味わいは、印刷でも充分に感じとれるでしょう。練りに練った画面構成とあわせ、作家の「執念のこもった」仕事ぶりを堪能したい一冊です。

手元に「絵本」という雑誌の1977年5月号(すばる書房)があるのですが、そのメインが創作絵本新人賞の結果発表で、若き日の川端誠さんの写真とインタビューが載っています。川端さんの写真はなかなか強烈です。修行僧の風貌です。

受賞作の『ぴかぴかぷつん』はやはり紙粘土の半立体で、細かく手が込んでいることでは『鳥の島』を上回ります。もはや感心するを超えて呆れるくらい。絵本表現の追及に妥協しない作家、川端誠の原点が見られます。

私が持っている『鳥の島』はBL出版刊行のものですが、図書館でリブロポート刊行のものも見たことがあります。なんでもさらに前には文化出版局から出ていたそうです。本に歴史ありですね。良い本は絶版の憂き目にあっても、きっと復活する、海のかなたを目指し決してあきらめなかった鳥たちのように。そう信じたいものです。

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