「巣ごもり」の中、家で見た映画『カメラを止めるな!リモート大作戦』など

緊急事態宣言発令の中、「巣ごもり」の生活が続く。散歩以外はほとんど外出しない。「籠城」である。「ロージョーするから金をくれ」と安達祐実をもじって言ってみたくなる。

仕事もパソコンを使った自宅ワークとなり、デジタル音痴の自分は悪戦苦闘を繰り返したが、やっと作業にも慣れネットで映画を楽しむ余裕も出てきた。気になってはいたが、今まで見ていなかった作品を沢山見ようという気持ちも出てきた。
今回は、ネットで見た、コロナの時代に必見と言いたい作品と、心が晴れやかになる西部劇を紹介し、最後に、YouTubeに最近配信されたばかりの新作映画を紹介したい。

「復活の日」監督:深作欣ニ 出演:草刈正雄 オリビア・ハッセー他

監督:深作欣ニ 出演:草刈正雄 オリビア・ハッセー他【amazonで見る】

まず、1980年公開の日本映画「復活の日」
名前だけ知っていて見ていなかったが、大変面白く驚いた。新型ウイルスの感染で人類がほとんど死に絶え、研究の為、南極基地に各国から集まっていた観測隊の数百名のみが生き延びる。
東ドイツ研究所から新型ウイルスが盗み出され(東西対立の時代だ)、カザフスタンからウイルス感染が始まり、「イタリア風邪」として全世界に波及していく。医療は崩壊し、有効な治療法もなく、混乱の中、人がどんどん死んでゆくという、まさに現実の事態に酷似する展開だ。ハラハラしながら見入ってしまう。

原作は小松左京(56年前に先見の明!)、監督は深作欣二、プロデューサーは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった角川春樹。製作費がたっぷりあったのだろう、南極(!)やチリやアメリカのワシントンなど7か月の海外ロケを敢行し、日本映画とは思えないほどスケール大きい娯楽映画となっている。

南極では、人類の将来の為に生殖をどうするか、性の処理をどうするかという切実な問題も描かれ、リアリティがある。ラストはちょっと甘いと思うが、力作だ。一見をお勧めする。

「赤い河」監督:ハワード・ホークス 出演:ジョン・ウェイン モンゴメリー・クリフト他

「赤い河」監督:ハワード・ホークス 出演:ジョン・ウェイン モンゴメリー・クリフト他

次は1948年の作品「赤い河」だ。深夜に見始めたら引き込まれて最後まで見てしまった。
1850年代、舞台は西部、ジョン・ウェインが孤児を引き取り、牛の放牧を始める。経営は上手く行くのだが、10数年後、不況のため、牛の群れを、沢山のカウボーイと共に、別の場所に移動させていくことになる。
一筋縄では行かない展開で、リーダーのジョン・ウェインがあまりにもワンマンであるため反感を買い、孤児から若者に成長したモンゴメリー・クリフトが反旗を翻し、リーダーが代わることになる……

この映画は、見事に様々な美点がある。
まず、ストーリーが面白い。
次に、1万頭に及ぶ(!)牛の描写がモウ素晴らしい。牛、牛、牛!CGでなく全て実写。牛の群れが疾走する、腰を抜かすほどの迫力がある。
そして、脇を支える人物が光る。今の言葉で言うと「ロジスティック」、すなわち数か月に及ぶ移動の中、限られた予算で、経費を計算し食事を準備する、歯のない味のある爺さんの存在がいい。いぶし銀の名脇役ウォルター・ブレナンだ。
そして、インディアンの襲撃に銃を持って戦う紅一点の若き女、ジョアン・ドルー。(襲撃のシーンで彼女に向かって弓が飛んでくる演出、失神する演出!)。

この映画の持つ空間の解放感、仲間の連帯感、登場人物の人間味など、とてもいいのだ。見ていて心が陶然として来る、本当にお勧めの映画だ。

さて、好きな映画をもう一本!
一昨年の大ヒット作「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が、同じ俳優を再結集させ、YouTube配信の短編カメラを止めるな!リモート大作戦を撮っているが、これがまた面白いのだ。

短編映画『カメラを止めるな!リモート大作戦!』本編 | One Cut of the Dead Mission: Remote

「カメ止め」と同じように、あの映画の監督が、プロデューサーから依頼されて「実録現代珍犯罪映画」を作ろうとする。コロナの為に関係者が集まれないのを逆手に取り、俳優は部屋にいる自分を自撮りして、その映像を繋げるのだ。
画面はZOOMの様に、人物を正面から捉えるショットのみ。アイデアも面白いが、結構芸が細かく、クスクス笑いを誘う。
テーマは「今こそ笑いを」だろう。確かに、見終わると何だか明るい気分になっていた。

前回紹介した行定勲監督の「きょうのできごと a day in the home」に続く、映画人からのエールともいうべき映画。家庭でゆっくり楽しめます!

(by 新村豊三)

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