秋のヨーロッパ旅行(1)パリと美術館に関する映画「間奏曲はパリで」など

10月末、パリ、ダブリンに2週間あまり個人旅行をしてきた。物価高・円安だったが、長年働き退職したのだから、これくらいのゼイタクはいいだろう。これから3回に分けて、その報告をしたい。

やりたいことが色々とあった。
1、パリで教員の仕事をしている親しい卒業生が一昨年結婚し、去年50歳で娘さんが生まれたので、会ってお祝いの気持ちを伝える。
2、好きな映画の撮影地を訪れる。
3、地図を片手に街を歩き回ったり、地下鉄に乗ったり、地元の人と一緒に映画館で映画見たり、プールで泳いだりする。

1は、実現できた。

さて2だ。訪ねたいロケ地の一つが、イザベル・ユペール主演の「間奏曲はパリで」(2014年)の中のオルセー美術館。

監督:マルク・フィトゥシ 出演:イザベル・ユペール ジャン=ピエール・ダルッサン他

監督:マルク・フィトゥシ 出演:イザベル・ユペール ジャン=ピエール・ダルッサン他

ノルマンディの農村からイザベル・ユペールがアバンチュールでパリに出て来る。それを知った夫が彼女を探してパリにやって来て、妻が知らない男性と歩いているところを見てショックを受けた後、傷心の状態でオルセー美術館を訪れる。夫が、羊飼いの少女の絵を眺めるシーンが中々いいのだ。

実は、オルセー美術館は35年前に訪れたことがあるが、この映画のシーンを見てもう一度行きたくなったのだ。訪れた日は、観光客が多く、雨が降る中、外で一時間並んでやっと切符を手に入れて美術館に入れたが、ルノアール、セザンヌ、モネ、ゴッホなど巨匠たちの沢山の諸作品にまた興奮。名画のつるべ打ちに圧倒され、映画に出て来る羊飼いの少女の絵を見るのを忘れてしまったほどだった。

最近は、若い頃好きだった、ゆったりとした「印象派」の絵より、ゴッホの絵に惹かれる。ゴッホの自画像を見ていると、悲しみと烈しい情熱が共に感じられ、胸打たれる。それから、今まで見たことがなかったと思う「ローヌ川の星月夜」という絵も素晴らしかった。(最近、知ったが、来年11月、上野の都美術館で展示される)

話は変わるが、今一番好きなフランスの監督はセドリック・クラピッシュなのだが、行きのエール・フランス航空機の中で素晴らしい彼の新作を見た。「La Venue de L’Avenir」(「未来の到来」)という作品。

田舎にある先祖の家屋敷を売る話が出たため、それまで会ったことのなかった従兄弟たちが初めて集まる。やがて、この従兄弟達は、自分たちの祖母の歴史を辿ることになる。映画はその話と、1895年若かりし祖母が田舎からパリに出て来て青春の日々を送る話が同時進行する。何と、ラストは、画家モネが登場する。モネが暮らす邸宅の大きな庭には睡蓮が浮かぶ池があり、美しい草花が咲き誇っている。(個人的には、ヒロインの質問に答えるモネの最後の言葉がニクイ)

モネの睡蓮の花の絵が展示されているオランジュリー美術館も何回か映画に登場した。後味のいい、そして人生の滋味を描いた秀作であり、来年きっと公開されると思う。
これは是非ともこのオランジュリー美術館を訪れねばならぬと、11月2日(日)に美術館に出かけていくと、入り口で係りの人から、もう切符は売り切れだと言われる。何でも、毎月第一日曜は入場無料で、希望者はスマホなどを使って申し込むが、先着順で予約が埋まってしまっていたのだ。あーあ、困ったなあと思っていたら、僕の後ろにいた40代くらいの男性(あとで聞いたらフランス人)が、二人分予約があるから、一緒に入場しましょう、と言ってくださった。親切は有難く受けることにし入場して名画を鑑賞することが出来た。これは嬉しかったなあ。オランジュリー美術館には睡蓮の絵の大作8枚(遺作だ)が、4枚ずつ、円筒形の部屋に飾ってある。映画通り、中々いい感じなのだ。

ついでに言うと、ある日、オペラ座からテクテク歩き、セーヌ川を渡り、ナポレオンの墓があるというアンヴァリッドの横を抜けてモンパルナスに向かっていると、ロダン美術館に出た。あの、ロダンの「考える人」の彫刻が飾られている美術館である。トリュフォーの「恋のエチュード」などに出て来た。「考える人」の彫像はデカい。写真を撮ってもらう人たち皆が、座って右腕をくっと曲げて顎に当てるポーズを取っているのがおかしかった。アフリカから来た人にシャッターを押すのを頼まれ、僕自身は韓国人に写真を撮ってもらった。

パリの街は意外と大きくない。山手線内くらいの大きさだそうだ。地図を片手に歩くとドンドン回れる(ほとんどの旅行者はスマホを使っているが)。

(by 新村豊三)

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