〈赤ワシ探偵シリーズ1〉フロメラ・フラニカ第六話「帝立図書館 その2」
図書館の扉の前でガラス瓶から放たれた俺たちは、我先にと扉の隙間から侵入した。 古びた書物の芳しい香りに、くらっとする。 大きな部屋の四方の壁が、すべて書棚になっている。高い天井には壮麗な天...
芳納珪の私設レーベル。ワクワクする空想冒険譚をお届けします。
図書館の扉の前でガラス瓶から放たれた俺たちは、我先にと扉の隙間から侵入した。 古びた書物の芳しい香りに、くらっとする。 大きな部屋の四方の壁が、すべて書棚になっている。高い天井には壮麗な天...
帝立図書館は、その名の通り、皇帝がいた時代に作られた。 だから、ずいぶんと下の階層にある。 私は、街塔の外側についているエレベーターの駅へ行き、下り線に乗った。乗り合わせたのは、ウサギ...
翌朝、レッドイーグル探偵社の2階の住居で目覚めた私は、いつものようにコーヒーを淹れ、カップを片手に窓の外を眺めた。 「月世界中華そば」の2階で、おかみさんが窓を開けて洗濯物を干している。 街は今日...
シンメ通りとジョアン通りの間にある”十六番街”。 この場所はいつも、どことなく落ち着かない顔の生き物たちであふれている。 彼らはみな、答えを求めてやって来た者たちだ。 ”十六番街”は、占...
その日の仕事帰り、私は久しぶりに、バー「山猫軒」へ行った。 レッドイーグル探偵社がある通りを南へ下り、突き当たりを右に曲がって坂を少し登ると、猫マークの看板がかかっている。 店の名前はどこにも...
クルックー。クルックー。 ひしめき合うサボテンの向こうから、鳩時計が午後五時を告げた。 私は、読みかけの岡本綺堂をデスクに伏せて立ち上がった。 ここ、オールドアースのトキ市は、今日も...