〈赤ワシ探偵シリーズ2〉ニフェ・アテス第十八話「発光キノコ」
翌朝——といっても下層世界に朝日は射さないので、暗闇の中を——我々は出発した。 地図と高度計と方位磁石で現在位置を推定し、構造躯体の鉄骨がむき出しになっている中を、なんとか階段までたどり着いた。途中...
芳納珪の私設レーベル。ワクワクする空想冒険譚をお届けします。
翌朝——といっても下層世界に朝日は射さないので、暗闇の中を——我々は出発した。 地図と高度計と方位磁石で現在位置を推定し、構造躯体の鉄骨がむき出しになっている中を、なんとか階段までたどり着いた。途中...
元警官で今は私立探偵のサムは、どっかと腰を下ろした。 マタタビ・スプレーが効いているジョーは、ごろにゃんと幸せそうに転がっていたが、眠ってはいないようだ。 「夕食がまだなんで、ここで失...
くちばしに、コツンと何かが当たった。 誰だ、私のくちばしに気安くさわるヤツは。 目を開けて、凍りついた。 黒光りする銃口が、私の眉間をピタリと捉えている。 無意識に、ふところの万能銃を求め...
下り斜面はえんえん続くように思われた。ぼんやり光るオサキは、ガレキの上をちょろちょろ進んでは立ち止まり、すいっと頭を上げて振り返る。 登った時と同じようにぎごちない動きで這い進む私に比べて、ジョーは...
ジョーと私は、コウモリ人の若き頭領、千夜が示した方向へ大空間を進んだ。と言っても、さらに下層に行くためにはそちらへ進むしかないのだ。 ヘッドランプの光は天井まで届かず、どれくらい高いのかわからな...
羽ばたき集団はあっという間に我々を取り囲むと、攻撃を加え始めた。ホバリングしながらキックを繰り出しているようである。打撃力は大したことないが、腕で顔をしっかり覆わなければ目も開けられない状態で...
列車は東区に到着した。雑多で生活の匂いがする西区と違って、こちらは官庁や大型工場などが多く、全体的に無機質な雰囲気である。そんな東区の、公共のエレベーターで行ける最下階の101階には「発掘博物館」があ...
「その自称元同僚はどんな風体でしたか? 『おかしな感じ』とは?」 私はノートを調べながらカテリーナに質問した。 「黒っぽい服を着て、鳥打ち帽を被ったマスチフ人でした。弔問に来たという割...
カテリーナは続けた。 「夫は、銀猫人の言い伝えを地道に収集して分析し、交響曲ニフェ・アテスが作られた年代を推定しました。ちょうどその年代に、四角石が記録媒体として使われていたとさ...
「ああ、どうかおすわりください。私はただ、息子さんに会って聞きたいことがあるのです……あるモノを探す仕事をしていましてね」 夫人はすわらなかった。自分を大きく見せようという心理が働いているのだろ...