ペンペン!いつも『白黒スイマーズ』ご愛読ありがとうございます。
火曜日はペンギンの日ですが、今日は『白黒スイマーズ』本編はお休みです。それじゃあ調子が出ない、というみなさまのために、代わって私、ペンギン大好きホテル暴風雨オーナー・斎藤雨梟がペンギン豆知識をお送りします。
さて突然ですが問題です。このペンギンは、誰?
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コウテイペンギンはこんなペンギン
答は「エンペラーペンギン」別名「コウテイペンギン」。我らがホドヨイ区おさかな商店街の氷屋さん、皇帝ペン一郎さんの種族です。
「ペンギン」と聞いて多くの方が思い浮かべるのが、南極周辺に住み、南極大陸の氷原で過酷な子育てをすることで有名な、このエンペラーペンギン(コウテイペンギン)ではないでしょうか。
写真はこちら。
エンペラーペンギンのカップルと、真ん中にいるのはヒナです。ヒナのふわふわの羽毛がかわいいですね。
キングペンギンはこんなペンギン
そしてキングペンギン、別名オウサマペンギンといえば、おさかな商店会長で酒屋さんの、王サマ義さんです!
キングペンギンは亜南極域に住み、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)に次いで大きいペンギンです。
うーん、似ていますね。
イラストでも見てみましょう。
うーん、似ていますね!皇帝さんは氷屋さんで王さんは酒屋さん、キャラクターが全然違いますし、王さんは前掛けをしていて、最近ではシュレーターズカチューシャもしているのでこのお話の中では簡単に見分けられます。
が、地球上に住むエンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)の違いはわかりにくくないでしょうか。そこで、この二種の違いを説明し、最後に見分け方と『白黒スイマーズ』読者の方なら簡単に覚えられる方法を大公開致しますよ!
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)の違いその1・ヒナの姿は全然違う
先ほどエンペラーペンギンのヒナが写真に登場しました。グレー、白、黒のカラーリングは、「ピングー」の妹の「ピンガ」や、「コウペンちゃん」などでもおなじみです。
一方、キングペンギンのヒナは全身がキウイのような色の羽毛で覆われています。成長して換羽する直前は羽毛がモコモコしていてしばしば親鳥よりも大きく見えます。@onezoo_official twitterより動画!
成鳥は似ている二種ですが、ヒナはあからさまに違うので簡単に見分けられます。大人になるとあれほど似ていくのが不思議なくらいです。
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)の違いその2・成鳥編
この二種のペンギンは地球上ではそもそも住む場所が違うのですが、それはさておき姿の違いを挙げていきましょう。見やすいよう、もう一度写真を載せます。
サイズ
地球最大のペンギン・エンペラーペンギン(コウテイペンギン)は体長120〜130センチくらい、それに次ぎ大型のキングペンギン(オウサマペンギン)は体長85〜95センチですので、サイズがだいぶ違います。
ですが、並べて見るという機会はまず滅多にありませんし、写真で見ると比較する物がなければスケール感はあまりわかりません。
プロポーション
写真をよく比べると分かりますが、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)の方が頭とクチバシが小さめ。キングペンギン(オウサマペンギン)はクチバシ、フリッパー(羽)が体の中で占める比率が大きいです。写真でも、足元近くまでフリッパーの先が届いているのが分かります。体の大きさに比して、足も大きめです。
しかしこのプロポーション、ポーズによってかなり違って見えるので少し分かりにくいのです。
体色
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)の方が胸の部分の色が黄色っぽく、キングペンギン(オウサマペンギン)の方がオレンジ色が強いです。側頭部の色も、キングペンギン(オウサマペンギン)の方が鮮やかなオレンジ色です。
また、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)は背中が黒いのに対し、キングペンギン(オウサマペンギン)はグレーです。
この体色の違いもまた、個体差があり、羽毛に雪がついていたり濡れていたり汚れていたりすると分かりにくいのが難点です。ちなみにフリッパーの色は二種とも外側が黒、内側が白です。
以上3点を覚えておいて総合的に比べれば、1枚の写真からでも違いは概ねわかるのではないでしょうか。ですが、最後の決定打、もっとわかりやすい違いがあるのです。
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)の違い・覚え方
それは体の模様の違いです。
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)は、側頭部と胸の白〜黄色・オレンジ色の部分がつながっていますが、キングペンギン(オウサマペンギン)は閉じていて、つながっていません。
言葉だと分かりにくいので、イラストで説明します。作者浅羽容子さんの許可を得て、体色の違いに関わるところに色をつけてみました。
こういうことです!
人の描いた絵に勝手に色を塗るってドキドキしますね。塗り絵がこれほど背徳的な遊びだったとは……というのはさておき、側頭部というか首というか頰というかに色の入った部分と、胸からお腹にかけての白い部分との関係が違うということが伝わったでしょうか。
この覚え方ですが、『白黒スイマーズ』読者の方ならば、おおらかな性格の皇帝ペン一郎さんには結構抜けているところがあって、先日の「皇帝ペン一郎、血染めの張り紙を残し謎の失踪」事件でもうっかり大騒ぎの発端を作ったことはよくご存じでしょう。未読の方もぜひ今から読んでみてください!
商店会長・王サマ義さんものんびりと優しい性格で、アイドル・慈円津サエリさんに恋しちゃったら実は**だったエピソードは有名です。
が、ブラック企業主と化していた比毛社長にビシッと一言言ったり、アザラシと果敢に戦ったりと、実はいざという時に頼れる強さを備えたしっかり者です。
というわけで、「ちょっと抜けてる(開いている)皇帝さん、意外としっかり(閉じてる)王さん」と覚えましょう!
もう一度ご唱和ください、
ちょっと抜けてる(開いている)皇帝さん、意外としっかり(閉じてる)王さん
これでもう、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン
)の違いはバッチリです。
エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)豆知識
キングペンギン(オウサマペンギン)は亜南極域に住むペンギンですが、暖かい場所にも適応するため、日本や世界中の多くの動物園・水族館にいます。一方、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)は寒い場所を好み環境整備が難しいようです。日本ではアドベンチャーワールド(和歌山県)と名古屋港水族館(愛知県)の二施設のみで会うことができます。
前にどこかで見たけど、どっちのペンギンだったかな?という方は、日本国内で、上記二施設以外だったらキングペンギン(オウサマペンギン)かと思われます。
私も昨年、名古屋港水族館で生まれて初めて本物のエンペラーペンギン(コウテイペンギン)の姿を見たのですが、やはり実際に対面すると大きさが違うのが実感できました。また、今までに見たキングペンギン(オウサマペンギン)は、温暖な日本の気候に適応し、皮下脂肪を蓄える必要がなくなったせいなのでしょうか、けっこうスリムでした。それに比べるとエンペラーペンギン(コウテイペンギン)のボリュームは大迫力で、立ち姿も泳ぐ姿も(名古屋港水族館では、水中を泳ぐ姿が真横から見られるようになっていました)、お腹のぽってり感といったらたまらなく魅惑的でした。
さて、動物園・水族館といえば、この3月、世を震撼させる事件(?)がありました。
twitterで旭山動物園のこちらのツイートをきっかけに、ペンギン好きでも「初めて知った」という人続出の、キングペンギンのこんな生態を多くの人が知ることになったのです。
キングペンギンのくちばしのオレンジ色の部分は、1年に1回はがれます。
コントラストが鮮やかですね!#旭山動物園 #asahiyamazoo#キングペンギン #kingpenguin#ぺんぎん館 pic.twitter.com/ksPTg2AtjX
— 旭川市旭山動物園[公式] (@asahiyamazoo1) March 5, 2019
は、はがれるって!?
衝撃でした。確かに正面から見るとくちばしのこの部分、妙に立体感があって他の部分とは違うパーツという感じはするのですが、まさか……。私もペンギン好き歴はそれなりに長いですがまったく知りませんでした。
ちなみに、エンペラーペンギンのくちばしのオレンジ色部分も、はがれるそうです。繁殖期の前にはがれるため、オレンジ色部分が鮮やかな方が異性にモテるのではと言われているものの、詳しいことは不明だとか。
極寒の地で子育て中の皇帝ペン一郎さんも、クチバシは鮮やかでツルツルなことでしょう。頑張れ皇帝さん!(ちょっと抜けてるけど)
以上、エンペラーペンギン(コウテイペンギン)とキングペンギン(オウサマペンギン)の違いと豆知識でした。
さて、『白黒スイマーズ』には、これまでに、日本であまり馴染みのないペンギンを含め13種類のペンギンが登場していますが、次回はまた新ペンギンが!どうぞお楽しみに。
登場人物の90%以上がペンギン!浅羽容子作・純ペンギン文学『白黒スイマーズ』
2019年4月30日現在の最新話はこちら
最初から読みたい方、第1回はこちらです!
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フンボルトペンギン・ケープペンギン・ガラパゴスペンギン・マゼランペンギンの違いについてはこちらの「ペンギン豆知識第二弾」をご覧ください。