さわやかな季節である。
ホテルの部屋に引きこもってはいられない。
西洋庭園をひとめぐり。
日本庭園の茶屋で一休みしたのち、自然と足が向くのはやはり雑然とした裏庭である。
植物は人間のおもちゃでは全然ない。
誰が手をかけずとも鮮やかな葉を伸ばし、見事な、あるいはささやかな花を咲かせる。
「あじさいの上をお散歩にゃ」
わたしの猫たちも花は大好きである。
花びらをむしゃむしゃ食べるのが好きなやつもいるが。
「ぼくの目と同じ色にゃ」
ビヨウヤナギ。唐の詩人、白居易の「長恨歌」にも登場する。玄宗皇帝と楊貴妃、いにしえの悲恋の物語。
「クローバーの花、こんなだったかにゃ?」
クローバーはシロツメクサ。葉っぱはちょっと似てるが花は全然違う。
これはムラサキカタバミ。食べちゃいかんぞ。
どくだみの花も意外に可憐。
「臭いけどにゃ」
―――――つづく
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