電気ウナギはバチバチと電気を放ちながら、川から陸に上がってきて、まわりを見渡した。
「・・・うまそうな人間の匂いがするぞ!どこだ、どこだ、人間は?」
レーチェルを危険な目に遭わせたくはなかったけど、僕はいい方法を思いついた。
「レーチェル、僕が合図をしたら、森で迷子になった人間のフリをするんだ。いいね?」
僕はそう言い、電気ウナギを捕まえる為の網を取り出し、近くの木に登った。
木の上まで登ると僕は、電気ウナギに気がつかれないよう、身を潜めた。
「レーチェル、今だ!」と僕は小声で下にいるレーチェルに言った。
レーチェルは立ち上がり、まわりをキョロキョロしながら言った。
「おにーちゃん、どこ?わたし迷子になっちゃった~」
電気ウナギがレーチェルに気がついた。
「うまそうな、人間の子供がいるぞ!フフフ、人間の子供を食べるのは、実にひさしぶりだな・・・」
電気ウナギは、舌舐めずりをして、ノソノソと陸地を這いながらレーチェルの居る所まで近づいてきた。
僕は電気ウナギが十分に近づいてくるのを待った。
電気ウナギが、大きな口を開きながら木の真下までやってくると、僕は網を開き、そして下へと落とした。
網が電気ウナギの全身に被さると、電気ウナギは恐ろしい形相をしながら木の上を見上げた。
「そんな所にも、人間の子供がいたか!フン、こんな網なぞワシの電気で破ってくれるわ!」
しかし僕には、電気ウナギにはその網が破れないのは分かっていた。
網は電気の実のツルで出来ているので、強い電気を当てても破れっこなかったからだ。
電気ウナギは大きな身を震わせながら、バチバチバチと電気を放ち網を破ろうとした。
しかし、どれだけ強い電気を当てても、網は破れる事はなかった。
電気は網を伝い、逆に電気ウナギを痺れさせてしまった。
電気ウナギは悔しそうな顔をしながら、僕を見た。
僕は木の下まで降りて、セラミックナイフを取り出した。
「おまえは今までに何人もの人間を食べてきたな!罰として、お前の腹を切り開いて、電気を取らせてもらうよ!」
「まてまて、人間の子供よ!・・・・もしワシを逃がしてくれたら、褒美として、もっと電気が取れるところを教えよう!」
――――続く
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