今回もTwitterでお話しました
みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。
先週のぐっちーさんのエッセイ「妄想生き物紀行 第5回 ゾウムシ〜エサとなる植物の数だけ種類が存在するゾウムシ、命名の姿勢を問う」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、今回もお伝えいたします。
先週のエッセイ、そしてポッドキャスト「妄想旅ラジオ」第5回「ゾウムシ」もお聴きになるとよりお楽しみいただける内容です。
心ときめく新種の命名「**ゾウムシ」
みなさまは、もし新種を発見したら、どんな名前にしますか?
先週のエッセイでぐっちーさんは安直な名前が多いことを指摘しています。その生物の性質を的確に表し、なおかつかっこいい名前がつけられたら最高ですが、特にゾウムシのような種類の多い虫の新種を発見した場合、「性質」を的確に表す名前は出尽くしていてなかなか難しいのではないでしょうか?
もうこうなったら好きなように自由に命名するしかありません。ぐっちーさんならどうするか、お聞きしてみました。
質問です! 命名界のてきとうさにびっくりしつつ、ゾウムシくらい数が多いと大変ですよね。ぐっちーさん @mousou_guccy は、もし新種のゾウムシを発見し、外見・性質・生息地にちなんだ名前は無理(先行がいるetc)ならどんな名前にしますか?これはいい命名、と感動した例はありますか?
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) September 1, 2020
名前でその生物の特性を表す事は重要である一方、安直すぎることを指摘した訳ですが、いざ名前を考えるとなると難しいですね
その辺を全く考慮しないなら、うちのネコ「なつ」の名前を永遠に残したいですね— ぐっちー (@mousou_guccy) September 1, 2020
ゾウムシならば「ナツゾウムシ」でしょうか。いいですね〜。
シャルル大熊さんからこんなツッコミも入りましたが
ぐっちーさんちの猫ちゃん、まさか夏生まれでは……
— シャルル大熊 (@charles_okuma) September 2, 2020
人懐っこいのでなつなのです
— ぐっちー (@mousou_guccy) September 2, 2020
安直な命名疑惑(?)は晴れたのでした。
私としては、秋や冬にしか見られないのに名前に「なつ」とつくという謎の虫が誕生してほしいものです。
新種に猫の名前がついた例はあるのだろうかと検索していたら、犬が魚竜の化石を発見したため、「新種ならば魚竜に犬の名前がつくかもしれない」というニュースを見つけました。つくといいな。
芋づる式新種グループ ゾウムシ&????
さて、シャルル大熊さんからはこんな質問も。
ぐっちーさんに質問です。
6万種類ものゾウムシがいることに驚きました。もうゾウムシ1、ゾウムシ2、……ゾウムシ59999とか命名したいくらいです。
そして、まだ見ぬゾウムシが15万種以上と推計されることにさらに驚きました。いったい何を根拠に「未知のゾウムシ種数」を推計するのでしょうか?— シャルル大熊 (@charles_okuma) September 2, 2020
ぐっちーさんからの回答です。
おそらくこれまで発見されたゾウムシの特異性から他の植物にも特有のゾウムシが存在するのではないかという事と推測します
沖縄の離島、小笠原諸島や東南アジアなど未研究の地がまだまだあるようです— ぐっちー (@mousou_guccy) September 3, 2020
なるほど。植物の数だけゾウムシがいる、がある程度の範囲で成立するという予想ですね。ありがとうございます!
— シャルル大熊 (@charles_okuma) September 3, 2020
つまり、既知の植物を食べる新種ゾウムシがいる可能性があるだけでなく、もし新種の植物が発見されたら同時に新種のゾウムシも発見されるかもしれないということ!?
トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】さんからはこんなコメントをいただきました。
コクゾウムシは、デンプンっぽいもの何でも食べるイメージでした。何の植物が作ったかに関わらず、デンプン (C6H10O5)n に特化したのかしら。
寄主植物を何で選別しているのか、不思議です。つま先や口吻に、DNAセンサーでも付いているのでしょうか。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) September 2, 2020
消化酵素による食性は大いにありそうです
どうやって判別するか面白いですね— ぐっちー (@mousou_guccy) September 2, 2020
特定のものしか食べられないというのはちょっと想像が難しいですよね。人間の「**アレルギー」などかわいいもので、「**以外アレルギー」みたいなものでしょうか。
消化器に、そのゾウムシに特異的な共生細菌がいそうです。(以前、カメムシでの事例を受講しました。)
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) September 3, 2020
特異的な共生細菌、いそうです。パンダの体内にもササを消化する細菌がいると聞きますが、元は肉食動物だというのに、細菌のおかげでササを食べられるようになったのか、ササを食べていたら細菌が来てくれたのか!?
続けてこんな記事もご紹介いただきました。
ゾウムシ外骨格の硬化に関与する共生細菌(ナルドネラ)がいました
ゾウムシと菌の境界が曖昧。ナルドネラ込みでしか、ゾウムシが成立せず、ゾウムシ1種にナルドネラ1種の特異性もありそう共生細菌が生み出すゾウムシの硬い外骨格 安佛尚志
季刊「生命誌」JT生命誌研究館https://t.co/bh7mwovWK0— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) September 3, 2020
↑とても面白いのでオススメです。「特定の食べ物を腸内の細菌が消化してくれる」というならまだ想像できますが、外骨格を硬化するのに共生細菌が関わっているとは驚きです。おっしゃる通り、細菌がいなければもはやゾウムシと言い難い何かになってしまいます。細菌、すごいですね……人間にも共生細菌は多くいるらしいですから、自分のアイデンティティは果たして人間のものか細菌のものかと考えると足元が揺らいできて実に楽しいです。
キノコをはじめとした菌類や細菌類に興味の尽きない私としては掘りはじめると長大になるのでこの辺で我慢するとして、これは、もし新種の植物がいると、同時に新種のゾウムシ、だけでなく新種の共生細菌も存在するということになるのでは? ワクワクするお話です。
シャルル大熊さん、トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】さん、どうもありがとうございます!
ぐっちーさんもうなる命名とは?
ホテル暴風雨オーナー風こと風木一人さんからはこんな質問が。
ぐっちーさん、質問です。
安直なものが多い昆虫の命名ですが、その中でひときわ輝くような、ぐっちーさんをうならせるような名前を持つ昆虫がいたら教えてください。
ぼくはオトシブミを知ったとき「おおっ」と思いました。— 風木一人@ホテル暴風雨オーナー (@Kazeki_Kazuhito) September 3, 2020
ゾウムシの仲間「オトシブミ」は風情を感じる命名ですね。さて気になるぐっちーさんのお答えはというと、
アリジゴクでしょうか
アリジゴクの特徴をアリ目線で説明したネーミングセンスは抜群だと思います— ぐっちー (@mousou_guccy) September 3, 2020
アリジゴクですか、さすが、ぐっちーさん。言われてみると「アリ目線」や類似の命名はかなり稀有です。アリ目線のサイズ感をインプットされるせいか、アリジゴクという生き物がいると聞いたときは、もっと大きな動物に違いないと思ったものです。風木オーナー、ありがとうございます。
タジン鍋は土鍋鍋、タジンナベビトはドナベナベビト。
さてTwitterでは出番がないかと思われた「タジン鍋」ですが、なんとぐっちーさんとタジン鍋との新たな出会いが。
先日寄ったハードオフで大量のタジン鍋を発見
値段もさらに安くなっていました pic.twitter.com/XSFmHQCs8K— ぐっちー (@mousou_guccy) September 3, 2020
いっぱいありますね〜、それに安い!
私もネットで検索してみたのですが、通販でもかなり多種のタジン鍋が扱われているのがわかりました。使いやすそうでシンプル・手頃なものから(さすがに300円はなかなかない!)、おしゃれな北欧風デザイン、有田焼や九谷焼など和風の陶製、と付加価値のついた高級感のあるものまで。かつてのように「その辺のスーパーでも売っている」ことはないものの、それなりに日本文化に根付いているようです。レシピも豊富で、「買ったは良いけど眠らせてませんか?」といったキャッチコピーとともに美味しそうな料理と作り方が紹介されています。
それにしてもタジン鍋、やっぱり良い形です。「タジン」ってなんだろうと思って調べて、語源などはっきりしたことまではわからなかったのですが、もともと「土鍋」のことを指す言葉だという情報は得ました。つまりタジン鍋は土鍋鍋です。ガラパゴスゾウガメ(=カメゾウガメ)に続く同義反復ワードの登場です。タジンナベビトはドナベナベビトです。鍋が大好き過ぎです。
あと、ゾウムシが大好きな人が猫に「ゾウムシ」という名前をつけて、ある日新種のゾウムシを発見したので猫の名前をつけようと思うと大変なことになりますね。つまり(以下略)
というわけで、今回はこれにて。
次回は「ヒツジ」です。妄想旅ラジオ第6回「ヒツジ」 に対応しています。ラジオでも解説したヒツジの持つ性質を、ぐっちーさんが思いがけない別の手法でまたわかりやすく説明してくれますよ! どうぞお楽しみに。
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