ぐっちーさんと話そう<3>  飛ぶ鳥を落とす進化の妙味

illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

またまたTwitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

先週のぐっちーさんのエッセイ「妄想生き物紀行 第3回 ヤンバルクイナ 〜飛ばなくてもいいから飛ばない。あなたの周りにそんなヤンバルクイナのような男はいませんか?」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、今回もお伝えいたします。

先週のエッセイ、そしてポッドキャスト「妄想旅ラジオ」第3回「ヤンバルクイナ」もお聴きになるとよりお楽しみいただける内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

飛べないのか飛ばないのかそれが問題?

「飛べない鳥」と簡単に言いますが、本当に飛べないんでしょうか? どうしてわかるの? 飛ぶのを見たことがないから?

ぐっちーさんにこんな疑問をぶつけてみました。

つまり、ヤンバルクイナさんのこの主張は正当かということなのですが。

ぐっちーさんからはこんな回答が。

確かに、マングースを前にして飛んで逃げていたら現在のような種の大ピンチには至らなかったことでしょう。飛べないんでしょうかね、やっぱり。

そして妄想旅ラジオのパーソナリティーのお一人、ポチ子さんからもこんなコメントが!

生存競争というと「戦いに勝つ戦略」という攻めの姿勢をイメージするけれど、「ライバルが諦めるまで我慢して持ちこたえる」というのもあるよな〜、などとちらりと連想しつつ、人間は愛と信頼で生きてもいるのだ、と感じる素敵なお話です。

そうですね、飛べる鳥だって「敵の襲撃に備えて飛ぶ練習しよう」と日々思って飛んでいるわけじゃないでしょう。たくさんの生き物が「今を生きた」結果が進化であり地球の現メンバー。そう思うと、槍が降ろうがマングースが来ようが飛ばないヤンバルクイナはやっぱり愛しのダメ息子……でしょうか?

ポチ子さん、どうもありがとうございます!

走る鳥の祖先

続いて、シャルル大熊さんからこんな質問が。

ダチョウが飛んだらものすごいでしょうね。飛べるダチョウがいたのか、気になります。

なんと、ダチョウが飛んでいた!?

想像したのとは少し違い、小型の鳥だったようですが。

進化というトライ&エラーはけっこう、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。「最強の生物はこれだ」という決定版などないってことかと思うと大変愉快です。

こちらにもコメントしたように、私はダチョウは最初から飛ばない鳥として進化したと勝手に妄想していたのですが、

今回のやりとりに触発され、こんな本を見つけて読んでみたところ、


空を飛ばない鳥たち: 泳ぐペンギン、走るダチョウ 翼のかわりになにが進化したのか? (子供の科学★サイエンスブックス) 監修:上田恵介 誠文堂新光社

とてもわかりやすく面白かったばかりか、

「飛べるのにめったに飛ばない鳥もいる」「恐竜絶滅のあと、爬虫類・哺乳類との戦いに勝った大型の飛ばない鳥『恐鳥類』の時代があった」などの興味深いお話が、たくさんの写真や絵とともに載っていました。

「飛べるけど飛ばない」「鳥半球」などが、あながちただの妄想でもないのか? とわくわくする内容でした。

飛ばない鳥って不思議なものですね。シャルル大熊さん、ありがとうございます!

できの悪い息子をさてどうしよう?

ヤンバルクイナはできの悪い息子、という説が大激論を呼ぶのでは? と実は思っていたのですが、案外そうでもなかった今回。

環境保全や希少種の保護にあたり、「地球にやさしい」「地球を守ろう」というあたかも利他的に見えるスローガンを掲げることに違和感を持つ人は多いでしょう。私もまあ、そうかなと思います。ですが環境保護そのものに反対しているわけではないので、「地球にやさしい? ケッ!」とか言ってると、環境にとにかく厳しい派との相対化はあやふやになります。

そこへ行くと「できの悪い息子」説は秀逸。利他的スローガンに疑問を持たない人は「『子どもは大事だからみんな守ろう』と言いつつえこひいきはOK派」、モヤモヤするけど保護した方がいいという人は「できの悪い子は世話を焼いてあげないと(だってかわいいから)派」、環境保護不要論者は「できの悪い子なんか追い出してしまえ派」という見事な相対化が可能。

みなさんは、何派でしょうか?

こんなコメントから察するに、ぐっちーさんは(動機は何であれ)「やればできる子」と信じて保護する派!

というわけで今回はこの辺で。

次回のエッセイは「アルパカ」です。妄想旅ラジオ第4回「アルパカ」に対応しています。どうぞお楽しみに。