番外編・オフ会〜上野動物園と宴会のギャップが聴きどころ?

「妄想旅ラジオ」ポッドキャスター ぐっちーが綴るもう1つのストーリー「妄想生き物紀行 第18回 番外編・オフ会〜上野動物園と宴会のギャップが聴きどころ?」

このエッセイ「妄想生き物紀行」も第18回を迎え、私自身、良く言えばこなれてきた、悪く言えばマンネリ化してきたと感じている。途中、小説タッチのヒツジを書いてみたり、ドキュメンタリータッチのツキヨタケを書いてみたりと、時々変化球を混ぜているものの基本的には動物の基本情報から派生する妄想をお届けしている。お気付きとは思うが、このエッセイは「妄想旅ラジオ」というポッドキャスト(インターネットラジオ)番組が元で、テーマはポッドキャスト番組で取り上げられた生き物と同じ順番になっている。ポッドキャスト番組では生き物の話だけではなく、テーマにまつわる旅の話や食の話をしているので、是非お聞き願いたい。もっとも、生き物の話は前座であり、メインは旅や食の話であることが多い。

さて、今回のテーマは「オフ会」であり、生き物ではない。つまり、ポッドキャスト番組でも生き物をテーマとしないイレギュラーな回である。このポッドキャスト番組が配信された当時は半年以上配信を続け、私自身、そろそろこなれてきたと勘違いしていた。それ故、何か変わったことがしたいと気負っていたと思う。そしてオフ会を企画したのだった。

オフ会とはインターネットなどで知り合った人々が、実際に会って親交を深めることである。インターネットでの交流がオンラインであるのに対し、実際に会うことがオフラインである。このオフラインでの歓談がすなわちリスナーとの交流だと考えていた。

ところで、この「妄想生き物紀行」を執筆するにあたり、私は同じテーマのポッドキャスト番組である「妄想旅ラジオ」を聞き返すことをしてこなかった。その理由として、第1にこのエッセイは同じテーマの動物でも音声と文章で、それぞれ違う表現をしたかったからである。とは言え、表現者は同一人物であるため、全く違う表現をしたいのに音声に引っ張られることを恐れたのである。また、ポッドキャスト番組の配信から5年以上経過した現在、クリオネの回でもあったように、生物学の世界は日進月歩である。常に最新の情報を得ていないと間違った情報を広めてしまう恐れがある。検索でヒットしたウェブの文章は新旧お構いなしで、適合した順に並ぶため、私は常に記事の執筆日を確認するよう心がけている。心がけているが、アルマジロでは間違った情報を元に執筆してしまったので反省している。

第2に気恥ずかしいからである。初期の番組は録音環境も悪く、話すテーマがまとまっていないなど、悪い点ばかりが気になってしまい、どうにも1分と聞いていられないのである。どうか想像して欲しい。あなたが社会人になりたての頃、初めて任された仕事風景をビデオに収められていたら見てみたいだろうか。ホッチキスで書類を留めるよう指示されて、右上を留めてしまった様子がYouTubeにアップされ続けているのを見ていられるだろうか。相当肝が据わった人でない限り無理だろう。実はこの第18回「オフ会」がそのやらかしてしまった記録である。

オフ会には多くの人が集まり、皆さんで楽しく情報交換をしながら和気藹々と過ごすものだと考えていた。しかし、集まったのは私一人だけ。集まってもいない。仕方がないので一人上野動物園を散策し、檻の前で動物の解説をICレコーダーに吹き込む作業を黙々とこなしていった。もし私が動物園の檻の前で一人ICレコーダーに話しかけている人を見たら、目を合わせないように遠ざかることだろう。家族連れが通り過ぎるのを待って録音ボタンを押す、その時の気持ちを思い出すと今でも逃げ出したい気持ちになる。

そのような状況で録音した音声の質が良いわけがない。話す声は小声になり周りの雑音の方が大きい。それでもなぜ続けたのか、その時の気持ちは今の私には遠すぎて思い出せない。そのような動物園ツアーが終わり、夜には宴会が開催された。宴会には10名弱の参加者に集まっていただき盛大に盛り上がったのだが、その様子もICレコーダーに収められている。動物園から宴会までの一連をポッドキャストの第18回では提供している。この回の聴きどころは動物園と宴会のキャップである。

ポッドキャストやエッセイをはじめ、物を制作する行為は孤独である。一人黙々と音声を編集したり、文章を推敲したり、あるいは絵を描いたりと孤独な時間を過ごしていると、なんでこんなことやっているのだろうという疑問も生まれてしまう。しかし、これを世に出した後、様々な反応が寄せられることが嬉しいから孤独に耐えることができる。もっと良い物を作ろうと頑張ることができる。

毎回このエッセイを発表した後、ツイッターで質問を受け付けているが、いつも面白い質問をしてくださり大変感謝している。エッセイを書いていた時には思ってもみなかった反応が返ってきて、私自身も勉強になっている。更に斎藤雨梟さんには毎回違った視点でまとめて頂き目から鱗が落ちることばかりである。

いつも当たり前のように聴いて頂いたり、読んで頂いたり、質問して頂いたり、まとめて頂いているすべての方に感謝したい。そしていつも当たり前のように日常生活を送ることができているのは、社会基盤を支えてくださっている多くの方の尽力があってのことで、それらすべての人に、このくだらないコンテンツで還元できれば幸いである。

(by ぐっちー)

<編集後記>

※このエッセイ「妄想生き物紀行」は、ポッドキャスト番組「妄想旅ラジオ」の第18回「オフ会特別編:ぐっちー、独りぼっちの上野動物園 と関連した内容です。ポッドキャストはインターネットのラジオ番組で、PCでもスマホでも無料でお聴きいただけます。妄想旅ラジオは、ぐっちーさん、ポチ子さん、たまさんの3名のパーソナリティーが毎回のテーマに沿って「生き物」「食べ物」「旅」について話す楽しいラジオ番組です。リンク先に聴き方も詳しく載っていますので、ぜひ合わせてお楽しみ下さい。

ぐっちー作「妄想生き物紀行」第18回「番外編・オフ会〜上野動物園と宴会のギャップが聴きどころ?」いかがでしたでしょうか。

今回もお読みいただきありがとうございます、編集担当オーナー雨こと斎藤雨梟です。

こんにちは!

今回は特に、ポッドキャストの放送の方も是非聴いていただきたい回です。前回と同じことを書きますが、これはもう「エクストリーム・ポッドキャスティング※」という新しいアクティビティと言いたくなる面白さなので。「妄想旅ラジオ」も、「こなれてきた」頃からさらに変化を続けてたくさんのリスナーを引きつけ続ける番組ですが、こちら「妄想生き物紀行」もこれからの変化がまた楽しみですね!
この伝説の「ぐっちーさんの一人上野動物園」の2年後、再び「上野動物園オフ会」が開催されたのですが、それには私も参加しました。人生初オフ会。たくさんの方が参加されていてとても楽しかったです。

※参考:
過酷な状況下でアイロンがけを行う「エクストリーム・アイロニング」という冗談みたいな競技が存在します。下は競技者の写真。

photo by Phil Shaw

Twitterでぐっちーさんと話そう企画

さて今回もTwitterでお話したいと思います。参加方法はTwitterに書き込むだけ、なので初めての方もラジオお聴きのみなさまも、エッセイを読んでの感想、ぐっちーさんへの質問やツッコミなど、ぜひお気軽に。私は「一人動物園」について、ぐっちーさんやみなさんとお話してみたいです。

斎藤雨梟のTwitterアカウント @ukyo_an  にて

↓こんな感じで↓ツイートしますので、よろしければみなさまもツイートへ返信してご参加ください。

ぐっちーさんとお話ししたもようは、来週こちらのサイトでまとめてお伝えします。Twitterでいただいた質問やコメントは記事内でご紹介させていただくことがあります。どうぞよろしくお願いいたします。では、Twitterでお会いしましょう!

ご意見・ご感想・ぐっちーさんへのメッセージは、こちらのコンタクトフォームからもお待ちしております。

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