Twitterでお話しました
みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「妄想生き物紀行 第26回 ウとアユ〜職人の経験と科学の間で」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。
先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただき、そしてポッドキャスト「妄想旅ラジオ」第26回「ウとアユ」もお聴きになるとより楽しめる内容です。
伝統と特別なウ
では早速、鵜飼について、風オーナーからの質問です。
ウは初めからアユが好物なのかと思っていました。味を覚えさせるだけで1年もかかるとは大変な仕事ですね。
昔10年で引退していたのはウのアユ採りパフォーマンスが落ちるからなのでしょうか? 今は非常勤になってその後も働くのか、それとも引退して悠々自適なのでしょうか?— 風木一人@ホテル暴風雨オーナー (@Kazeki_Kazuhito) June 24, 2021
昔は10年働いてもらったらウを野生に帰していたとエッセイにありましたよね。まだまだ元気なうちに帰してあげようという意味だったのか、それとも? と気になるところでしたが、
やはりパフォーマンスは落ちるようです
今は定年後も再雇用で、仕事量はそこそこですが、頑張ってもらっているようです— ぐっちー (@mousou_guccy) June 24, 2021
それぞれの体力や適性に合った仕事ができる世の中がいいですね(^-^)
— 風木一人@ホテル暴風雨オーナー (@Kazeki_Kazuhito) June 24, 2021
ライフステージに合わせてワークバランスを変化させる。鵜飼の世界も伝統をかたくなに守るだけでなく、より良く改善したり時代に合わせたり、変わっていくのですね。
そして伝統といえば、シャルル大熊さんからはこんな質問です。
ぐっちーさんに質問です。1300年起きなかったことが突然起きるのは尋常ではありません。2014年の宇治川では何か特別な工夫がなされたのでしょうか?
— シャルル大熊 (@charles_okuma) June 25, 2021
何しろ1300年ですからね。何が起こったのでしょう。
人工繁殖については論文が出ているようなのですが、有料だったので確認できませんでした
他の資料でも詳しく記載されていなかったので、あえて詳しく書かないようにしているのではと感じました
それにしても不思議ですね
案外、ほったらかしにしてたら産んでたという事かもしれないですね— ぐっちー (@mousou_guccy) June 25, 2021
なるほど、謎に包まれたウミウの人工繁殖。ほったらかしってことも、なくはないか!?
ああ、なるほど。特許出願中のようなケースもあり得ますね。とにかく1300年起こらなかったことが起こるのはミラクルに違いありません。
— シャルル大熊 (@charles_okuma) June 25, 2021
一方で、1300年の伝統と違ったことをやったから生まれた、ということもできると思います
— ぐっちー (@mousou_guccy) June 25, 2021
伝統を守ることも疑うことも大事ですね。
— シャルル大熊 (@charles_okuma) June 25, 2021
伝統と違うことをするインパクト、重み、それは伝統あればこそ。いろいろ考えてしまいますね。
風オーナー、シャルル大熊さん、ありがとうございます!
釣りのお供はウミウ? カワウ?
鵜飼というと現代ではウがアユを獲るさまを見せるパフォーマンスとして認識されがち。鵜匠も、伝統工芸の職人や伝統芸能の演者のようなイメージで見ています。ですが鵜飼はもとはといえば漁のひとつのスタイルで、鵜匠も漁師の一種なのですよね。よくこんなに手間のかかることを先年以上続けてきたなと思います。
さて次は、トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】さんにいただいたコメントをご紹介します。
元々、海にいる鵜に川魚を捕らせているのが不思議です
海鵜の人工繁殖が一気に進んでいたのですね。長い歴史に、産卵・孵化が無かったことが、上橋菜穂子『獣の奏者』にでてくる王獣や闘蛇のようで、少しゾワっとしました
始祖鵜ッティーの系譜の鵜を、釣りのお供に連れて行ける未来に期待です
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) June 22, 2021
なぜウミウ? と思いますよね。
ところで『獣の奏者』とはそういう、人と一緒に暮らす動物の話なのですね。同じ作者の「守人シリーズ」は面白かったので、次はこれも読んでみたいものです。
不思議ですよね
わざわざウミウにするからには、カワウでは鵜飼ができないんだろうな〜と思いきや、中国の鵜飼はウミウというお話も初めて聞いてまた不思議!
ウッティーの「放ち鵜飼」の試みにも興味津々です。どうやってアユを回収するのかとか他にもいろいろ🧐 見てみたい😃 @mousou_guccy— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 22, 2021
すみません、↑このツイート↑で、「中国の鵜飼はウミウ」と書きましたが、「カワウ」の間違いです。カワウは鵜飼に適さないのかと思ったらそうではないみたいなので、よけいに「じゃあなぜわざわざ日本の鵜飼はウミウを?」という謎が深まったのですが、
昔は日本中の海岸でウミウを捕獲できたそうです
いつでも手に入る環境だと育てる方がコストが高いのでなかなか進まないかもしれないですね
ウナギも稚魚を捕獲して肥育していますが、人工孵化は技術とコストでまだまだです— ぐっちー (@mousou_guccy) June 23, 2021
う〜ん、昔の日本ではウミウの方が身近だったのでしょうか? どっちも身近だったけれど、ウミウを選んだのでしょうか。
可能だけれどハイコスト、まだ別の選択肢もあるとそっちに行きますよね😅ところで、ウは近所の公園の池などでもよく見るのです。カワウ、ウミウの写真を見て比べたのですが、種類がよくわかりません。(やや)内陸の公園(近所に川はある)の池に飛んでくるのは、カワウの可能性が高いでしょうか?
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 24, 2021
そう、私は東京在住ですが、近所の公園にいます、ウが。そういえば上野の「不忍池」にもいっぱいいます。ウは今も身近な鳥です。が、カワウなのかウミウなのかがわからない!
妄想旅ラジオで話された、氷河期とムツゴロウの関係のように、海鵜の分布の歴史的変遷も興味深いです。
水上ドローンの釣り利用には早速規制が入りそうですが、鷹匠のように、鵜でも「共生的」になるといいなと。(ドローンとは別の規制や免許は必要でしょうけど)
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) June 24, 2021
鷹狩りは人と鷹の「共生」的な色合いが非常に濃いと聞きますね。
鷹匠は鷹を操る人と思ってしまいますが、「鷹を主人だと思って仕える」心得が大切だそうです。と、私はこちらのインタビューで知りました。何とも奥の深い世界です。
ウミウとカワウの見分けは、口元の黄色い部分の形らしいのですが、並べてある写真を見ても、言われてみたらそうかも?ぐらいで…
ハシブトガラスとハシボソガラスも、厳しいです💧
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) June 24, 2021
海にもカワウがいて川にもウミウがいるそうなので見分けるのは難しそうです
— ぐっちー (@mousou_guccy) June 24, 2021
はい、話は戻ってカワウとウミウ。本当によく似てるのです。海でも川でもどっちもいるとなるとますます。でもやっぱり、今はウミウが限られたところでしか捕獲できないからには、公園にいるのはカワウか?
ハシブトガラスとハシボソガラスの方が、まだ見当がつく……ような気が……しないこともないです。
写真見比べてこれは無理、わからん! と思ったのですが、カワウは留鳥ということなので、関東に春や夏にいるならばカワウですかね? ところで鵜飼みたいな漁のしかたって他にあまり聞きませんが、鵜匠鷹匠以外の鳥の「匠」もいるんでしょうか。どちらにせよ、ウはかなり特別な鳥なんですね❗️
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 25, 2021
一年中いたらカワウ。それしか素人にできることはないと見ました。
狩りの実際のパートナーの他にも、鳥に、どうして人間に何か運ぶイメージがあるのか不思議ですね。
オスカー・ワイルドの『幸福の王子』のツバメや、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるとか。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) June 25, 2021
そうですね。鳥、そんなに荷物持てなさそうなのに。
鳥よりも牛とか象とか、たくさん荷物を運べそうな生き物は多いのにたしかに不思議です。案外「実用」っぽくないところが肝で、見えないほど遠くから抽象的な良いものをもたらしてくれる運び手ということかもしれないですね。
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 27, 2021
荷物持てなそうだからいいのかな、と試しに考えてみたところ、意外と言えているのではないかと。
日本で運ぶといえば、ペリカン、クロネコ、カンガルー、飛脚ですね
ハトは引っ越しですが、手紙を運んだりノアの方舟では陸地を教えてくれます
幸せの青い鳥のように、良い事、物を運ぶイメージは確かにありますよね— ぐっちー (@mousou_guccy) June 25, 2021
いますね、運ぶ動物、運ぶ人たち。それぞれ、安全、早い、大切に運ぶ、などのイメージを体現していますが、
ペリカンやカンガルーはポケットついてる感じしますね。この理屈だとドラえもん便が最強か😄
渡り鳥だと、季節を運んでくるようなイメージはしますね。— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 27, 2021
はい、やはり鳥は抽象的な運び手のように思います。
私はけっこう鳥が好きで、鳥が歩いていると尾行し、飛んでいると立ち止まって見続ける習性があるのでよく方角を見失い道に迷いますが、考えてみると多かれ少なかれ、「人はみんな鳥が好き」なのかもしれません。
トリフィドさん、どうもありがとうございます!
怠けの座をめぐって
続いて、妄想旅ラジオパーソナリティのおひとり、ポチ子さんからも質問です。
良く働くウは1割で、卵も産まないということは、人間に飼われることでアリやハチのような真社会性(昨夜学びました)に変わるということですか?
働かなくても生きていける環境が作られれば怠けちゃうのは、どの生き物も共通かな~と、我が身を振り返って思いました。— ポチ子 (@mousou_pochiko) June 25, 2021
そういう視点はなかった〜!
どうなんでしょう、ぐっちーさん?
この場合労働というより使役でしょうね
昔はアユを獲って食料にして生活していたのが、今はウがアユを獲る様子を見せることで収益を上げる構造の変化が関係しているのかもしれません
成果主義から過程主義への変化は人間社会と逆ですね— ぐっちー (@mousou_guccy) June 25, 2021
確かに。エンタメ化が過程主義に至るポイントなんでしょうか。
人間社会にも、頑張ってる、たまには怠けてる姿を見せて稼げる商売があったらいいのにな〜
— ポチ子 (@mousou_pochiko) June 26, 2021
私も「昼寝家」とか「道草家」とかになりたいです。
芸人さんのドッキリ映像はそれに当たるかもしれませんよ
— ぐっちー (@mousou_guccy) June 26, 2021
やっぱりエンタメ化がポイントですね。ということは、
ただただ頑張る姿を見たいという需要はありそうですよね。そこで、(ちょっと違うけれど)お葬式の「泣き女」みたいに、頑張ってる人の頑張りを引き立てるための「怠け者役」という需要も引き出せる……かもしれない!?😄😅
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 27, 2021
「泣き女」なんて職業がある国もあるんですね。確かに葬式の間、親族は段取りやら挨拶で忙しくて泣いてる余裕がないですもんね〜
— ポチ子 (@mousou_pochiko) June 27, 2021
「泣き女」が今もいるかはわからないのですが、「怠け女」の時代はこれから来ると思われます。
最後に、「真社会性」に関する私の思いつきを。
真社会性という切り口は思いつかなかったです😮ウが鵜飼を「 最上位の個体以外は繁殖せず群れのために働くシステム」として受け容れている?と想像すると面白いですね。働きアリにも働き者と怠け者が一定比率でいるというし、人間から見た「一糸乱れぬ集団主義」的なものとは別の面もありそうです
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 27, 2021
つまり「怠けるシステム」という面というか、うまく精鋭怠け者集団に入れば怠けられる、その怠けの座をめぐって実は争っているのかもしれない……
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) June 27, 2021
運動神経がブチ切れている私は、高校の体育の授業で、バスケットボールの補欠の座を巡って熾烈な争い(といってもジャンケン15番勝負などですが)を繰り広げたことを懐かしく思い出しました。ちなみに全員強制参加ですので、補欠より下はありません。「出ずっぱり」が基本、「たまに出る(これが補欠)」が何名かという編成です。補欠の椅子は玉座の座り心地、本でも読んでいられればもっと最高でした(本はダメなので妄想していました)。
ポチ子さん、どうもありがとうございます!
長い歴史のあるウと人の関係。それだけに妄想ポイントも満載でした。みなさまありがとうございます。
今回のページトップの絵は、新しいのを描くのを怠けた 鵜飼を描いた川合玉堂の素晴らしい作品です。
では次回もどうぞお楽しみに。また来週、こちらのサイトで、そしてTwitterでお会いしましょう!
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