皇居のタヌキの暮らしを妄想 ぐっちーさんと話そう<45>

たぬきケーキを贈ります illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

Twitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「タヌキ〜日本で最も穏やかな生活を送るタヌキについて、日本で最も高貴な研究が行われた。」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

タヌキはお好き? イヌはどう? エキノコックスの好みの謎

快適なすみかを得て高貴な研究の題材となっているタヌキがいる一方、毛皮取りのために連れてこられて逃げ出した流浪のタヌキ、エキノコックスに好かれたおかげで人間から警戒されまくるタヌキなど、受難のタヌキたちもいます。人生いろいろタヌキもいろいろ。

トリフィドさんからコメントいただきました。

そうですよね。故郷を離れ、食べ慣れた木の実や昆虫のいない東ヨーロッパの冬、野ネズミなどを獲って食べてエキノコックス感染、もし日本に逃げ帰れてもエキノコックスゆえに人に嫌われる……過酷すぎて同情するに余りある話ですが、エキノコックスは人間にとっても脅威なので人の心配もしないといけません。

野生のタヌキが本来の食性を変えずに済めば一応安心、なのでしょうか。エキノコックスのことをよく知らずに怖がっていても仕方がないので、正確な情報が今後ますます求められそうです。かく言う私もエキノコックス→北海道のキツネに注意 くらいのイメージしかありません。

えっ!

そうなのか……

タヌキはエキノコックスにすごく好かれるわけではないと。しかし人間の長年の相棒であるイヌに感染するとなると、本州で感染拡大したら相当深刻な問題となりそうです。

はい、どういうこっちゃとにわかに興味がわき、検索してみたところ、犬のエキノコックス症に関して注意を呼びかける記事が愛知県のホームページに見つかりました。

上記リンクに情報がありますが、同じ愛知県のサイトの別記事も含め、「エキノコックス」「イヌ」についてちょっとまとめますと、

人への脅威:
*エキノコックスに感染したキツネや犬の糞便により汚染された食物・水などを、人が偶発的に飲み込むことにより感染
*感染してから10年前後で発症、肝臓や肺に寄生し、肝不全などの障害を引き起こすことがあるが、人から人への感染はない
犬への脅威:
*犬が虫卵を直接口に入れても感染せず、感染した野ネズミを食べることで感染する
*感染しても駆虫剤で駆除できる

野ネズミがエキノコックスの中間宿主、イヌ(やキツネ)が終宿主ということです。適切に予防すれば大丈夫なのですが、その予防方法は

  •  野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと。
  •  野犬や野生動物にはむやみに触れないこと。触れた場合は、よく手を洗うこと。
  •  衣服や靴についた泥はよく落とすこと。
  •  沢や川の生水は飲まないこと。
  •  山菜や野菜、果物等はよく洗ってから食べること。
  •  犬の放し飼いをしないこと。犬の糞便は適切に処理すること。

最後の「犬の放し飼いをしない」というのがポイントで、うっかり野ネズミを食べてしまったりしないよう、愛犬の感染を予防する必要があるそうです。

私は興味があるので思い切り食いついてしまいましたが、苦手な方ごめんなさい。でも感染しないようみなさん気をつけて!

ウイルス・菌類が面白いとは以前から思っていましたが、やっぱり寄生虫も面白い……。

トリフィドさん、どうもありがとうございます!

タヌキ、進化中

ふわゆさんからは、タヌキの目撃情報(動画)いただきました。

妙に慣れた様子ですよね。昔の人もこういう姿を見て化かされてしまったのでしょうか。

タヌキは珍しいとはいえわりと人里近くで暮らしてきた生き物です。ヒト側の対応も千差万別、統一はされていません。タヌキとヒト、お互い快適に共生するにはまだ課題が多いですね。

ところでこの動画のタヌキは恐らくホンドタヌキ。北海道にいるのはエゾタヌキ。亜種ですが、この二種に、素人が目で見てわかるくらいの違いはあるのでしょうか? これは北海道在住のぐっちーさんに聞いてみないと。

交通事故の犠牲に! 人里に慣れているタヌキが多いとはいえ、車のスピードになかなか慣れるものではないのか。タヌキ用の信号つけるわけにもいかず、こういう事故は防ぎたいけれど防ぐのは大変です。車にタヌキセンサーとかつけたらいいんでしょうか。

そうだ、エゾタヌキの大きさの話でした。ベルクマンの法則に従い「ヒグマ」と「ツキノワグマ」なんかかなり大きさが違います。タヌキも進化中で今後サイズが変わるとしたら、エゾタヌキが巨大化するのかホンドタヌキが小型化するのか、興味の尽きないところです。

ふわゆさん、ありがとうございます!

皇居のタヌキ研究

さて、天皇陛下(当時の)が調査のためタヌキのフンなどを調べるなどして論文を発表、と聞いても、「どのくらいご自分でされるのか」というところに興味が湧くのは人情というものですが、

手ずから!

5年間毎週!

これがその写真!

思わず「!」連発です。根気強く研究している研究者はたくさんいるしそれが普通、なのでしょう。ですが、天皇陛下も、そして他の研究者の方も、一日中タヌキのフン集めて顕微鏡を覗いていられる時間があるわけじゃないですから、すごいことだと思います。学術研究が何の上に成り立っているのか、あれこれ考えさせられる写真。

ハゼの標本やスケッチの展示も! そういえばご専門はタヌキではなくハゼなのでした。

日本にいると「そういうもんか」と思いがちですが、王族が学術研究をするというのは、(日本だけかは不明なものの)わりとレアなようです。

タヌキに限らず、都内なのに原生林が残る皇居の生物生態は多くの研究者が興味を持つところでしょうが、学術的な意義や個人の熱意だけで調査が可能になるわけではないもよう。先日、愛子内親王が「動物が好きで皇居の生き物に関心がある」と会見で発言されたそうで、そこに希望を見出した研究者も多いのでは。

トリフィドさん、もう一度、ありがとうございます!

たぬきケーキを食べてみたい

さて、果報は寝て待てと申しますが、ぐっちーさんからステキな情報が。

おおっ!

そうなんです。先週のエッセイの最後をよ〜く読み直していただくとわかる通り、「たぬきケーキについて などなどお話しましょう」と、本文にたぬきケーキの記述は皆無だったにも関わらずしれっと書いておりました。

たぬきケーキとは知る人ぞ知るたぬき型のケーキ。私は最近まで知らず、写真でしか見たことがないので、人気再燃は朗報として受け止めました。お店によって材料も味も姿も違うのですが、モチーフがタヌキであるという以上の、何ともいえないレトロかわいいテイストが共通しています。いつか出会える日が(そして食べる日が)来ると嬉しいです。

ポチ子さんからは写真が!

何これかわいい。

写真を見たことのあるたぬきケーキの中でもかなりかわいいです。

リアルな造形ではないのに、丸っこくマンガっぽいタヌキというより本物のタヌキの特徴を捉えた一品。鼻先のとんがりと色を変えたところがすごく効いていると思います。いいな〜。

ポチ子さん、ありがとうございます!

そんなわけで、描いてみたのが今回の絵。皇居のタヌキがたぬきケーキを作ってプレゼントという妄想です。

タヌキでございます

タヌキはお世話になったとは思っていないでしょうし、野生動物なのだし直接お世話もされていないでしょうが(いや、トイレの掃除か!?)、安全なすみかを得るにあたり、間接的にはお世話になっていると言えるのではなかろうか。

では今回はこれにて。次回のエッセイのテーマは「ナマズ」です。妄想旅ラジオ第46回「ナマズ」 では、世界の大・ナマズ紀行(ぐっちーさんの生き物パート)やナマズグルメ(ポチ子さんの食べ物パート)が楽しめます。たまさんの「調べ物パート」は意外な切り口。何がテーマになるのかもお楽しみなのでネタバレしないでおきます。エッセイの予習がてら、ぜひ聴いてみてください。次回もどうぞお楽しみに!

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