カワウソ〜仕草は可愛いが凶暴なコツメカワウソは #ペットにしても幸せにできない動物

カワウソは食肉目、イタチ科、カワウソ亜科に分類される動物の総称である。イタチ科には他にアナグマ亜科、ラーテル亜科、イタチ亜科、アメリカアナグマ亜科があり、南極、オーストラリア、ニュージーランド以外に生息する。生息場所は、川のカワウソ、陸のイタチ、アナグマ、木のラーテルとイタチ科の中でそれぞれのニッチを獲得している。カワウソ亜科には、カワウソ属を始め、コツメカワウソ属、オオカワウソ属、ラッコ属などがあり、ラッコは海にまで進出しており、イタチ科はあらゆる場所に生息範囲を広げている。ラッコはカワウソの仲間だが、もし、ラッコの発見が遅れ、命名がカワウソの仲間であると判明した後だったら、おそらくラッコは「ウミウソ」と命名されていたに違いない。ウミウソだと可愛さが半減してしまう気がするのでネーミングは重要だと再認識させられる。

 カワウソはラッコ同様、動物園の人気生物である。上野動物園では正門から入ると右手にパンダ舎があり、しばらく右方向に進むとユーラシアカワウソを見ることができる。また、クマたちの丘にはコツメカワウソが展示されており、2種類のカワウソを見ることができる。そのうちコツメカワウソはインドから東南アジアにかけて生息するカワウソの仲間だが、前足を器用に使って餌を食べる仕草が可愛いと人気の生き物である。その可愛さからコツメカワウソをペットにする人が現れ、その動画も人気となりカワウソを飼育したいというニーズが高まっている。

しかし、上野動物園ではコツメカワウソの飼育に警鐘を鳴らしている。コツメカワウソは顎の力が強くニワトリの頭をかみ砕く力を持っており、ヒトに危害を加える可能性がある。もし、コツメカワウソがヒトに危害を加えた場合は殺処分にされることも考えられ、安易な飼育はコツメカワウソにとってもヒトにとっても不幸な結末になってしまう。

一方、上野動物園で飼育されているもう1種類のユーラシアカワウソはユーラシア大陸と北部アフリカに生息する。コツメカワウソに比べ大型で主に魚を食べる。このユーラシアカワウソの亜種とされるニホンカワウソは1975年以降捕獲されておらず、絶滅したと考えられている。絶滅の原因は土地開発による生息場所の減少と考えられ、ヒトがニホンカワウソを絶滅に追いやったと言える。

生物はいずれ絶滅する。ヒトも例外ではない。だからニホンカワウソの絶滅に心を痛める必要はないという意見もあるだろう。ニホンカワウソが占めていたニッチはいずれ他の生物が進化してその地位を獲得するだろうし、ヒトの感情によって生物の絶滅の是非を決めるべきではない。ゴキブリは絶滅してもいいがジャイアントパンダは絶滅したらだめなんて、そんな勝手な感情論で絶滅の是非は決められないはずである。

そこで、このような倫理的な問題はAIに聞いてみるのが一番だと考え、情報ソースも明かしてくれる「PERPLEXITY(パープレキシティ)」というAIに聞いてみた。

質問:なぜ絶滅しそうな生物を保護するのですか

PERPLEXITYの回答:
生物を保護することは、​生物多様性を維持するために重要です。​生物多様性は、​生態系のバランスを保ち、​人類の生活に必要な資源を提供するために必要です(参考リンク1 ・2。​また、​絶滅した種を復活させることはできないため、​絶滅を防ぐことが重要です(参考リンク3。​さらに、​生物多様性を維持することは、​人類の生存にも関係しています(先述の参考リンク3 ・1と関連)。​生物多様性が失われると、​食料や薬品などの供給が減少し、​生態系のバランスが崩れることがあります。

AIの回答を分析すると、

1.現在の生態系のバランスを壊してしまう

2.人類の生活と生存のために必要である

3.不可逆的である

この3点に集約できると思う

よくよく考えてみると、生物の保護は人類のためであり、絶滅して行くであろう生物のためではない。今現在人類が接している生物環境が最適であり、崩れてしまうと不可逆なので保全しましょうと言っているのである。

もし、この不可逆性を解消できる技術が開発されたら、例えば遺伝子操作で昔の生物を復活させることができるとしたら、このロジックは崩壊するのではないだろうか。生態系のバランスが崩れたらいつでも戻すことができる技術が開発された時、果たして生物多様性の保全に労力をかけるだろうか。ゴキブリがいなくても生態系が保たれる世界だとしたら、そこに住みたいという人は多いだろう。

道を歩けばオオカミに襲われていた時代の人はオオカミが絶滅した今の方が安全な世の中になったと思うだろう。今からオオカミを復活させ野に放とうとは誰も思わない。絶滅危惧種の保護は地球のために何かいいことをやった気になっているが、実際は人類のエゴのためなのだ。

今はまだ「地球にやさしい」という標語でオブラートに包まれた心地よい表現で行われている環境保全活動も、いよいよ切羽詰まったら「人類生存をかけた」活動に様変わりするかもしれない。ずっと「地球にやさしい」活動を続けていけるようにエコに努めたい。

(by ぐっちー)

※このエッセイ「妄想生き物紀行」第74回はポッドキャスト番組「妄想旅ラジオ」第74回「カワウソ」と関連した内容です。「妄想旅ラジオ」は、ぐっちーさん、ポチ子さん、たまさんの3名のパーソナリティーが毎回のテーマに沿って「生き物」「食べ物」「旅」について話す楽しいラジオ番組(ポッドキャスト)です。そちらもお聴きになると一層お楽しみいただけますのでぜひどうぞ! ポッドキャストはインターネットのラジオ番組で、PCでもスマホでも無料でお聴きいただけます。詳しい聴き方などは「妄想旅ラジオ」のブログを。

ぐっちー作「妄想生き物紀行」第74回「カワウソ〜仕草は可愛いが凶暴なコツメカワウソは #ペットにしても幸せにできない動物」いかがでしたでしょうか。

今回もお読みいただきありがとうございます、編集担当・ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

こんにちは!

かわい〜!! と怪しい生き物をペットにしようとして酷い目に遭うストーリーは時々見かける気がします。映画「グレムリン」とか。でも実際はそういう時にひどい目に遭うのは動物の方という悲しい事実。さらに連想するのはウォルト・ディズニーの、野生のフクロウをペットにしたくて捕まえようとして誤って殺してしまった幼少期の経験から、捕まえるのではなく動物を主人公にした物語を作ろうとしたという逸話です。つまり人間は妄想力が大事ということですね!

Twiterでぐっちーさんと話そう企画

さて今回も、ぐっちーさんとみなさんと、Twitterでお話したいと思います。カワウソについて、カワウソの裏の顔について、凶暴なペットについて、などなど、何でもお話しましょう。参加方法はTwitterに書き込むだけ、なので初めての方も、ラジオお聴きのみなさまも、質問してみたい人はもちろんただお話してみたい人も、エッセイを読んでの感想、ぐっちーさんへの質問やツッコミなど、ぜひお気軽に。お待ちしています。

斎藤雨梟のTwitterアカウント @ukyo_an  にて

↓こんな感じで↓ツイートしますので、よろしければみなさまもツイートへ返信してご参加ください。

ぐっちーさんとお話ししたもようは、来週こちらのサイトでまとめてお伝えします。Twitterでいただいた質問やコメントは記事内でご紹介させていただくことがあります。どうぞよろしくお願いいたします。では、Twitterでお会いしましょう!

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内>