紙書籍と電子書籍はこれからどうなるのか? コスト差と価格差の不均衡。

プロの絵本作り 本気で絵本作家を目指す人に 風木一人著

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KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)でセルフ出版すると、その電子書籍をアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、オランダ、日本、インド、カナダ、ブラジル、メキシコ、オーストラリアの13か国の amazon で販売できる。

といっても日本語の本だから現実には日本でしか売れないだろうと思っていたらドイツで4冊売れ、アメリカで3冊売れた。たぶんドイツとアメリカにお住いの日本人の方だろうけれど、海外でも実際に売れることがわかった。
KDPで英語の本を刊行すれば本当に世界を相手にすることができるだろう。文章のない絵本や漫画、画集や写真集もいいかもしれない。

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ここでKDPを離れ、電子書籍一般の話を少ししよう。
出版界にいると「電子書籍はこれからどうなるのか?」という話題はあちこちから聞こえてくる。これは「紙の書籍はどうなるのか?」とセットなのだが、多くの人は「紙は今より減るがなくなりはしない」と考えている。
ぼくも同感だ。紙と電子はずいぶん違うもので、それぞれ長所短所があり、電子があれば紙はいらないなんてものではない。

ただ電子が増え紙が減ると価格差は出る。電子は安くなり紙は高くなる。とにかく読めればいいものは安い電子書籍で、特別に愛する本は高価な紙書籍で、と住み分けされるようになるのかもしれない。

電子書籍最大のメリットはコストが安いことだ。紙代も印刷代も製本代も要らない。書店への輸送費も在庫保管のための倉庫代も要らない。もちろん返品もない。
にもかかわらず紙書籍との価格差はとても少ないか、あるいはまったくない。
理由はいろいろあるのだろうが、一つには出版社と書店(正確にはリアル書店)の関係だろう。
出版社や著者は紙でも電子でも買ってもらえれば仕事になる。しかし書店はそうはいかない。電子では仕事にならない。出版社が紙と電子の価格差を大きくすることは、紙から電子に移行しようとすることで、書店にとってはマイナスだ。どんな出版社だって書店に嫌われたくはない。

ただコストに大きな差があるのに価格差がないのは不自然で不安定な状況ではある。
昨年衝撃的なニュースがあった。コミックにおいて、電子書籍の売上が紙書籍のそれを上回ったというのだ。
漫画単行本、電子書籍と紙の売り上げ逆転 市場規模はピーク時の4分の3に

ジャンルによっては時代はそこまで来ている。
もし、

1、コミックが主力
2、全体業績は芳しくない
3、電子は紙より収益を上げている

そういう条件の出版社が、高コストの紙書籍から撤退し電子書籍に専念したらどうなるのだろう?

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