
【 魔の目撃 】(7)
キリンラガーを飲みながらキツネ男の話を検証した。 彼の説明により、昨夜、彼がとった行動がはっきりした。彼は現場での仕事が完了した後、一旦街...
キリンラガーを飲みながらキツネ男の話を検証した。 彼の説明により、昨夜、彼がとった行動がはっきりした。彼は現場での仕事が完了した後、一旦街...
現場監督はさすがにほっとした様子だった。ひととおりの報告を聞きながら地面に向けて煙を吐き出していたが、報告が終わった時点で、くわえていたラッ...
現場監督は口ひげ、小太り、黒ブチ眼鏡、といった男で、私は好感を持っていた。当時……この話は1978年頃の話なので、かれこれ40年ほど前の話に...
建築現場における私の仕事はまさに「日雇い」だった。朝の7時に現場に行き、現場監督からその日の指示を受ける。それまでは全くわからないし、わかる...
無言と緊迫。たぶん10秒ぐらいだった。しかしそのとき感じた時間。それはもう長かった。 双方ともに暗闇の中で五感を総動員させ、相手の気配を探...
そこは想像以上に気分のよいところだった。もう一度周囲を見回してだれもいないことを入念に確認し、私は足場の4階に座りこんだ。手の甲で額の汗をぬ...
大学生時代には「まあずいぶん色々なバイトをやったものよ」といまでもなつかしく思い出すことがある。 中学生の家庭教師、石膏デッサン教室の講師...
「わかった。認めよう」と私は言った。 「……人は死んで、別の人に生まれ変わる。肉体は滅びるが、魂はそこから抜け出してしばしさまよい、やがて...
ふと脳裏に浮かんだ光景があった。記憶が曖昧だが、テレビで見た1シーンだ。場所は日本ではなく(たぶん)インドで、寺院を建設(あるいは改修)して...
「正直に答えてほしいのだけど」と占い女が言った。 「いつもいつも正直に答えてる」 「そういうふうにシャアシャアと言う人は信用できないのよ...