アックス第170号(青林工藝舎)に、私の漫画『熱情 Piano Sonata No.23 Op.57-3』が載りました。

連続掲載12回目、1ダース分とも干支1周分ともいえて、とっても嬉しいです。
今回はベートーヴェンの『熱情』第3楽章をテーマにしようと決めて、こんなラフから描き始めました。

私は中学生の頃、ピアノの先生にベートーヴェン三大ソナタ『悲愴』『月光』『熱情』の入ったレコードを薦められ、繰り返し聞いていました。
当時、『月光』はとても良い曲だと思ったのは覚えていますが、それ以外の印象はすっかり忘れてしまいました。そんな私が『熱情』をこよなく好きになったのは、YouTubeの『THE FIRST TAKE』で藤田真央さんの演奏動画を見たのがきっかけです。
まるでベートーヴェンが憑依したような鬼気迫る演奏に圧倒され、「この曲を弾きたい!真央君みたいに!ほっぺたぷるぷる震わせながら弾きたい!」と思い、春先から練習を始めました。
他のピアニストの演奏も気になり色々と見てみると、ラン・ランの演奏にも心を奪われました。
とても素晴らしい演奏なのに何故か笑っちゃう、この感覚を共有したくて家族や友達に「見てみて、ほら!ここ!!すごくない?」と、やや強引に薦めまくりました。
仲良しの友達Rさんの、「ラン・ランはクラッシックピアノ界の梅沢富美男」という表現に「言い得て妙!」と感心しました。私もいつか、口元に指を当てて『熱情』を弾いてみたくなりました。
しかし私は、ほっぺた震わせたり口元に指を当てたりする以前に、つっかえないで弾くのに何年もかかりそうです。
さてさて漫画の解説です。
2016年からNetflixで配信された『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が、今年の1月に完結したのですが、私は完結した直後に見始めて、あまりの面白さに10年分を1ヶ月程で一気見しました。
そしてデモゴルゴンという、口が花びらになっている怪物とピアニストの戦いを思いつきました。
デモゴルゴンは身体は人間みたいだし、細かいブツブツやベタベタした感じを描くのが難しいので、映画『リトルショップオブホラーズ』に登場するオードリーⅡという、同じく花の怪物をモデルにしようと思いました。しかしこちらも細かい歯やグロテスクな舌が難しくて、結局自分で描ける範囲のオリジナルの花の怪物になってしまいました。

いつもなら、「ピアノ漫画はオチを知っていても音楽のように繰り返し味わえる。」と言ってますが、今回は大変はげしいオチなので、ぜひ漫画本編を読んでいただきたい内容です。お読みいただければ今回はいつもと違う感じが伝わると思います。
アックス第170号の巻頭はアックスマンガ新人賞選考結果発表!!ちょっぴり値上げでたっぷりボリュームアップしています。そして次号から季刊になりますが、その分さらに濃厚濃密お腹いっぱい胸いっぱいになることでしょう。
(作 津川聡子 /写真 てる君)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第206話 ピアノ漫画『熱情 Piano Sonata No.23 Op.57-3』ネタバレ解説」いかがでしたでしょうか。10年分を1ヶ月で一気見って、どれだけ面白いんだ!? とそこに反応してしまった私です。
『アックス』掲載ピアノ漫画は、ラフがまた熱情っぽくていいのですが、完成した絵は、いつもよりも妖しさ3割増しのお花の怪物と、単体で生き物みたいに描かれたいつもと一味違うピアニストの手。なんだかすごいバトルが始まりそうです。今号、ドブリン!さんの表紙もかわいくて楽しみ楽しみ。ベートーヴェンのピアノソナタなら『テンペスト』派の私ですが、『熱情』もいいですね〜。みなさんもぜひ聴いて、読んで、お楽しみください♪
「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪