ある村に、口がきけない病の娘がおりました。
幼なじみの若者が、娘の病を治すため、願いが一つだけ叶うという光の粒を探しに旅立ちました。
山岳地帯を何日も歩き続け、力尽きて倒れた若者は、最後の望みを託して鳩を放ちました。
光の粒を見つけて、あの娘に届けておくれ。
それから何十年もたったある日、村に住む口のきけない老婆を、年老いた商人が訪れました。
若い頃の記憶を失っている商人に、かつて娘だった老婆は、大切にしまっておいた光の粒を見せました。
二人は若返り、末長く共に暮らしました。
(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)
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