鳥の民泊(その1)by 芳納珪
1 庭の柿の木にやってくるヒヨドリから、鳥が運営する民泊があると聞いた。 私の部屋は大家さんが住む家の二階にあり、入り口は独立しているけど、台所の窓が大家さんちの庭に面している。な...
芳納珪の私設レーベル。ワクワクする空想冒険譚をお届けします。
1 庭の柿の木にやってくるヒヨドリから、鳥が運営する民泊があると聞いた。 私の部屋は大家さんが住む家の二階にあり、入り口は独立しているけど、台所の窓が大家さんちの庭に面している。な...
そんな中、決定的な事件が起きた。ラディカルな発言で知られていたDJが自宅の場所を突き止められ、暴徒に襲われたのだ。容疑者がサボテンラジオリスナーであったことが報道されると、世論は一気にサボテンラジオ撲...
大学に進むころには、私のサボテンラジオ園はちょっとした名所になっていた。 ステージの中央には、サボテンラジオ第一号の「金鯱」と、第二号でパートナーの「弁慶」がなかよく並んで鎮座している。その周り...
五年生の夏休みに、サボテンラジオを作った。 バナナでもラジオは作れるが、二、三日で黒くなってしまうのが難点である。 その点サボテンは、鉢植えにすればずっと感度を保つことができるし、棘を...
さっき、どうして気づかなかったんだろう。 延段の石を、最近組み替えた跡がある。橋をかけたときに、いくつかの石を芝生側に移動したのだ。 その、芝生をはがして埋めた石のひとつが、ぽこぽこ動いている...
庭を見ればすべてがわかる。人の心や体は、庭とつながっているから。 毎日歯を磨くように、庭も毎日の手入れが肝心だ。だけど、どうしても気づかないうちに、パーゴラのすみに大蜘蛛の巣がはっていたり、木のうろ...
ハイイロの翅は、すさまじい力でニニエをつれさろうとする。 メメイは必死にしがみつく。 脚がちぎれるかと思ったとき、めり、と音がした。 ふたりのからだは飛び上がった。 あっ、と思って下を見ると、...
十六の季節の十五番目、「青い弦」が過ぎ去ろうとしていた。 重力の方向がゆらゆらと変化する日々は、もうすぐ終わる。 あたたかい朝、メメイはお気に入りの枝につかまって、甘いペウをしゃぶって...