お客さんが増えれば売上も増える
11月11日(土)文学フリマ東京37に出店した。「自らが文学と信じるもの」を展示販売するイベントでタイトルのとおり37回目になる。
もともとはアマチュアの祭典であったと思われるが、いまはプロ作家も多数参加している。またポプラ社、新潮社などの出版社、丸善ジュンク堂などの書店も参加している。本を愛する者、本と関わる者なら誰でも来いのお祭りになったといっても過言ではないだろう。
「ホテル暴風雨」として出店した。3回連続の出店である。その間出店者も一般来場者も増え続けて、今回は1843の出店、12890人の来場者と聞いた。ちょっと前まで800の出店、4000の来場者くらいだったのだから、たいへんな盛り上がりである。
店番をしていても来場者の増加はありありと実感できた。
スマホを忘れて写真が撮れなかった(笑)。1枚だけ人にもらった。
このようなイベントのいいところはなんといっても、お客さんが目の前で買ってくれることだ。
ぼくは20年以上前から絵本作家をしているが、基本的には自分の絵本が売れる瞬間を見ることはない。全体としてどれだけ売れたかはわかっても、どんな人がどこで買ってくれたかはまったくわからない。
しかし文学フリマでは目の前でお客さんが、ふと足を止め、手にとり、ぱらぱら見たのち購入してくれる。ぼくは、足を止めてくれるかな、手にとってくれるかな、買ってくれるかなとどきどきしながら見ている。こんな楽しいことはない。
「見てもいいですか?」と訊く方がいる。「どうぞどうぞ!」と答える。
どんどん見てほしいし、できれば会話もしたい。落ちついて選びたいだろうから積極的には話しかけないが、何か声をかけてくれれば、制作話とかいろいろしゃべってしまう。読者と話せるのはじつに貴重な機会だからだ。
うれしいことに売り上げは毎回伸びている。前回は前々回の1.5倍だったから、今回は前回の1.5倍を目標にしていたら、めでたくクリアできた。やった!
原因はつぎのようなことが考えられる。
2、毎回新刊を出すのでラインナップが充実してきた
3、前回購入して気に入ってくれた方がまた来てくれる
たぶんいちばん大きいのは1だ。とにかく毎回お客さんが増える。すると比例して売上も増える。好循環だ。
文学フリマ東京はこれから大きく変わる?
じつは文学フリマ東京は次回(来年5月)からの有料化が発表されている。これまでは出店者は1ブース6500円の出店料を払うが一般来場者は入場無料だった。
しかし規模の拡大にともないコストが増大し、出店料とスポンサーの援助だけでは無理になったそうで、一般参加者からも1000円の入場料をとることを発表した。
出店者としては当然、来場者が減らないか心配ではある。
すでに何度も来場し、文フリ大好きな人なら入場料1000円でも来てくれるだろうけれど、初めての人が「どんなイベントかな?」と軽い気持ちでのぞきに来るにはハードルが高くなってしまう。
まあ運営側もよくよく考えての決断だろうから良い結果となることを祈っている。
店番しているとなかなか他のブースをまわれないが、事前に目をつけていたところはなんとか駆け足でまわった。本当はこっちもじっくり楽しみたい。だって面白い本はいくらでもあるのだ。
相方斎藤雨梟と合わせた収穫がこちら。
ああ楽しかった!
というわけで、さっそく次回「文学フリマ東京38」の申し込みをしましたよ(笑)
2024年5月19日開催。次々回から会場が東京ビッグサイトに変わるので、東京流通センターではたぶん最後の開催となる。
入場料を有料化してはじめての開催ともなる。
予測不能な面もあるけれど、この3回で感じた熱量、ただ来場者が増えただけでなく皆さんがじつに楽しそうに会場を闊歩していたことを思えば、きっと次回以降も盛り上がるだろう。
まだ文学フリマを経験したことのない方、ぜひ次回はご参加、ご来場ください!
(by 風木一人)
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