猫の慢性腎臓病の薬。ラプロス・セミントラ・フォルテコール

猫の慢性腎臓病の薬は3種類ある

昨年12月にムギの腎臓病のお薬を変えた。慢性腎臓病発覚から3年以上飲んできたフォルテコールをやめてラプロスにした。獣医の先生から、ラプロスにして食欲が出た、体重が戻ったケースがあるとすすめられたからだ。

ムギは元は4キロあった猫だがいまは2.3キロから2.45キロを行ったり来たりしている。食事量ははっきり少ない。500グラムの腎臓病用療法食を20日で食べきれば上出来、もっとかかることが多い。ペットラインのキドニーキープと、ロイヤルカナンの腎臓サポート(セレクションかスペシャル)をローテーションで食べている。
なんとかこれ以上体重が落ちないようにしたい。それでラプロスにしてみた。

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よく使用される猫の慢性腎臓病の薬は3種類ある。フォルテコールとセミントラとラプロスだ。ネットやパンフレットからも知識を得たが、おもに二人の獣医さんからそれぞれのことを教えてもらった。去年の7月まで通っていた動物病院の先生と今通っている動物病院の先生だ。

フォルテコールはいちばん昔からある薬で臨床データは最も多い。慢性腎臓病になると血圧が上がりやすいので血圧を下げることでタンパク尿を抑制し、腎臓病の進行を抑える。1日1回服用。体重によって量を変える。錠剤だが、うちのムギは錠剤を飲ませるのが困難なため粉末にしてご飯に混ぜて飲んでいた。

セミントラは2014年発売の比較的新しい薬。有効成分が違うから効くメカニズムは違うのだろうけれどうたわれている効能はフォルテコールとほぼ同じで、タンパク尿を抑制し、腎臓病の進行を抑える。1日1回服用。液体である点がフォルテコールとも後述のラプロスとも大きく違う。液体だから与えやすいという声と、液体だから与えにくいという声と両方あるらしい。

ラプロスは2017年発売の最も新しい薬。はじめて「腎臓病の進行抑制効果」が認められた薬として大きな期待をもって発売された。……と聞くと、あれあれ上の二つはそうじゃないの?という疑問が当然起こる。
動物用医薬品は農林水産省による審査・承認を経て発売となるが、じつはフォルテコールとセミントラの効能として承認されたのは「タンパク尿抑制効果」で、タンパク尿を抑制すれば腎臓病の進行を抑制できるはず、というのは推論であり、科学的に充分な証拠があるとまではいえないらしい。少なくとも農林水産省のお墨付きはない。とはいえ多くの獣医師さんが使用してきたのは現場の実感として効果があるからだろう。
ラプロスは「腎臓病の進行抑制効果」を効能としてうたうことを認められた点では、前の二つより一歩前進ということになる。
1日2回服用。この点が薬を飲みたがらない猫の場合はハードルになる。あと価格も3種類の中でもっとも高い。

獣医の先生によって選択は違う

3年半前血液検査でムギの慢性腎臓病が発覚したとき、当時通っていた病院の先生がすすめてくれたのがフォルテコールだった。セミントラに関しては、飲んでくれないという声もあることと、ビン入りの液体でちょっと試すということが難しい上1本がけっこう高いという説明を受けた。つまり第一選択はフォルテコールで、もし合わなかったらセミントラも検討しようということだ。ラプロスはまだ発売されて間もなかったからか説明は受けなかった。
3年たって尿素窒素とクレアチニンの数値が進んだとき、ここで食い止めるためどうするかの相談をして、その中で薬を変える話も出た。このときはラプロスの説明も受けた。しかし、ラプロスに変える、あるいはフォルテコールとラプロス併用にすることもできるが積極的には推奨しないと言われた。先生の経験上それで明らかによくなったケースはあまりないというのだ。

17歳から20歳の3年以上のあいだ尿素窒素とクレアチニンの値がそれほど上がらなかったわけだからフォルテコールは一定の働きをしてくれたのだろう。
一方体重は下がってしばらく横ばい、下がってしばらく横ばいを数度くりかえし今の防衛ラインは2.3キロで、何とかここで持ちこたえなければという状況になってしまった。

事情があって去年の夏に通う動物病院を変えた。
今の先生にも3つの薬のことは教えてもらった。先生はこれまで腎臓病の猫にはセミントラをいちばん使ってきたそうで、前の先生の第一選択がフォルテコールだったことを話したら「まあ先生によって違うものです」とのお返事だった。薬は同じでも獣医さんの経験は一人一人違って、その経験から、飲ませやすさ、効果、価格などを総合的に判断した選択順位ができているのだろう。
もちろんそれを押しつけられるということはなく、ムギの場合はフォルテコールを3年飲んできたのでそのまま継続することになった。
そして先に書いたように、12月に体重減少に歯止めをかける試みとしてラプロスに変える提案を受けた。
昨年コロナの影響で海外製であるセミントラが入手困難となり、先生はそれまでセミントラを出していた猫さんにラプロスを出すようになって、するとその中に食欲増進・体重増加が認められたコがいたというのだ。

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ラプロスに変えてどうだったか?

よくなる可能性があるなら試してみようと思った。
効くかどうか以前に気になるのは飲んでくれるかである。
ラプロスは小さな錠剤だが、ムギに錠剤を飲ませるのは困難なので、病院で粉末にしてもらった。メーカーである東レの公式見解ではラプロスは割ったり粉末にしてはいけないらしいが(そしてそれにはちゃんと理由があるに違いないが)、飲ませること自体難しくなってしまうよりは飲んでくれる方法で与えるのがよいと先生も言っていた。
ごはんに混ぜてあげることもメーカー推奨でないような気がするが、うちでは少量のチュールに混ぜてあげている。ラプロスは無味無臭なのでそれでムギは喜んで食べてくれる。1日2回も苦にならない。
粉末だと袋に残ったり空気中に舞ったりしていくぶん量が減っているはずだが、ラプロスは大きな猫も小さな猫も1回1錠なので、体重の軽いムギは少々目減りしていてもまったく問題ないだろうと思っている。

最初はお試しという気持ちもあった。合わなかったらフォルテコールに戻してもいいと。2週間ほど飲んで食欲も活動性もやや上がった気がしたのでこれは続けようという気持ちになった。
しかし3ヶ月たってみると、正直なところ明らかにいいと言えるほどではない。食欲にムラがあるのはあいかわらずで、少食期が来ると体重は減る。活動性はまあまあを維持しているがこれは続けてきた皮下輸液の効果かもしれない。
ラプロスにして目に見えてよくなった!と言いたかったが、なかなかそう簡単ではない。
まあ、悪くはないな、と感じるので続けるつもりではいる。

まだセミントラは試していないが(今は品薄で試せないし)、どうも猫の慢性腎臓病の薬3種は、この薬にすればバッチリとか、そういうことではない気がしている。前の先生も今の先生も、どれかが決定的によいという話はしなかった。猫によって合う合わないもあるだろう。飲んでくれるかについても、効くかについても。

でも、ひょっとしたら、来年宮崎徹先生のAIM製剤が実用化すれば劇的に変わるかもしれない。
ムギは今年の6月で21歳だから来年は22歳。うん……がんばっておくれ。

(by 風木一人)

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