皮下輸液を毎日にした結果はどうだったか?【20歳の猫ムギのブログ】

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血液検査でBUNとCREの数値が上がった

ホテル暴風雨の5周年セールなどで忙しくまた間隔が空いてしまった。その間にちょっと大きな変化があった。
3月にムギの血液検査をした。約4ヶ月ぶりだった。腎臓の状態を表す2項目が大幅に悪化してしまった。

BUN(血中尿素窒素)前回46.8 mg/dl 今回101 mg/dl
CRE(クレアチニン)前回2.35 mg/dl 今回5.2 mg/dl

ムギの日々の様子に大きな変化はなかっただけにまったく予想外だったし、ショックだった。
クレアチニンが5未満なら慢性腎臓病の中度だが、5を超えると重度に分類される。
BUN 100超えは、獣医の先生によると、健康な猫が急になったなら食欲が完全になくなるくらいのレベルらしい。
ムギは食欲にむらがあるが、このときはむしろ良い波の方で、ムギにしてはよく食べていた。
検査の数値と実際の体調は必ずしも一致しないのだ。

先生から皮下輸液を毎日にしましょうと言われ、そうすることにした。幸い12月から自宅輸液に切り替えていたので、毎日になっても大きな問題はない。
皮下輸液を増やすことでBUNとCREが下がるかを確認するために次の血液検査を早めにした方がいいか質問してみたが、その必要はないとのお返事だった。
猫の慢性腎臓病は仮にもっと数値が上がったとしても、すでにやっている療法食・お薬(ラプロス)・皮下輸液以上の治療法はないので、ここまでくるとあまり数値に一喜一憂してもしかたないそうだ。
一度やめた吸着活性炭(クレメジンなど)を再開するのはどうかも訊いてみたが、尿素窒素、クレアチニンの数値はいくらか下がるかもしれないが便秘や食欲不振につながる可能性も考えると積極的におすすめはしないとのことだった。
とにかく輸液で水分を多くとり、脱水症状を解消し、老廃物の排出をうながすのがなにより大事という見解だ。

もうひとつ悪化の目立つ項目があった。血液の濃度を示すPCVだ。これはHCT(ヘマトクリット)と同じものらしい。

PCV(血液の濃度)前々回 27.7% 前回24.4% 今回19.8%(基準値24~45%)

連続して下がり基準値下限を割ってしまった。これは貧血を示している。
こちらも腎臓病が原因で、腎臓で作られる造血ホルモン「エリスロポエチン」が充分作れなくなって起こっているらしい。治療法としてエリスロポエチン製剤の注射があるが、週3回の注射を数週にわたって続けなければいけない。ムギのストレスを考えると相当に厳しい。しかも効果は一時的だというから、とりあえずやめておく。

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皮下輸液を毎日にした結果は良好だった

その後、約2ヶ月、ムギに毎日ソルラクト輸液100mlの皮下輸液を続けてきた。
猫の背中に注射針を刺す作業も、毎日だとあっという間に慣れるものである。何日かに一度だったときは、手術にのぞむ外科医のごとく精神集中して「いざ勝負!」みたいな気分だったが、毎日だとそこまで緊張してはいられない。
ふつうのこととして淡々と行うようになり、その方がかえってうまくできるのか、ムギもたいていおとなしくしている。助かる。

結果はおおむね良好だった。
まず食欲が安定してきた。ムギは慢性腎臓病用療法食のカリカリ(キドニーキープとロイヤルカナン腎臓サポートセレクション)を食べているが、小食かつムラがあり、1日に小さなお皿で平均5皿、少ないとき2~3皿、多いとき7~8皿だった(小分けにしているのは出してから時間が経つと食べないから)。
皮下輸液を毎日にしてからは、2~3皿という悲しいほど少ない日はなくなった。5皿は食べる。
もうひとつ、嘔吐も減った。以前からごはんや胃液を吐くことがあり、多いときは週に3回吐いていたが、毎日輸液にしてしばらくするとほぼまったく吐かなくなった。

今のところ毎日の輸液がムギの健康に役立っていることは間違いないように見える。やはりそのくらい脱水症状が進んでいたのだ。
去年の7月ごろ皮下輸液を週1回ではじめ、だんだん増やさなければいけないと聞いてはいたが、8か月くらいで毎日まで来てしまったわけだ。

ぼくはこれまで闘病という言葉はあまり使ってこなかった。ムギは自分でご飯を食べ、トイレに行き、そういう意味ではふつうに暮らしているので、病気と闘っているというよりは、つきあっているのだと思ってきた。
でも、どうなのだろう? 毎日注射で水分を補給しなければいけないとなると、これはそろそろ闘いなのかもしれない。

二十歳の猫ムギ。2021年

「ムギは闘ってるの?」「眠ってるのにゃ」

(by 風木一人)

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