いろいろ変化があり、書きたいことは多いのだが、バタバタしていてなかなか時間がとれない。
良いニュースはムギの電子書籍のことだ。第2巻も完成した。1巻と2巻を合わせるとムギの20歳の誕生日から21歳の誕生日の記録となる。ブログだけだと流れていってしまう1年間の生活をこういう形にまとめられてとても嬉しい。
よろしければご覧ください。スマホやパソコンでもお読みいただけます。
『猫が21歳になりました2 慢性腎臓病の診断から1400日を生き抜いて』
ミラタズ軟膏を試す
ムギの食欲はあいかわらず低調だ。結局レメロンを自分で飲ませることはできず、動物病院で4回飲ませてもらった。間隔は中5日、中4日、中2日。食欲増進効果が切れるのが早くなる傾向が明らかにある。ただ4回目のあとは3回目のときよりは長持ちしたから一直線というほどではない。
病院で先生と助手さんの二人がかりでも簡単ではないのだから、今後も自宅ではできそうにない。そこでミラタズ軟膏(mirtazapine transdermal ointment)を取り寄せることにした。
レメロンと同じ有効成分(ミルタザピン)で、経口ではなく耳に塗って経皮吸収されるタイプの新しい食欲増進剤だ。
先生に相談すると海外からの取り寄せで1か月くらいかかるかもしれないとの話だった。ネットで探すと1~2週間で届くというサイトが見つかったので、急を要するからこちらで頼んでいいかと訊くと、先生は「全然問題ない」と言ってくれた。そういう先生なのである。
すぐ注文し、実際に1週間ちょっとで届き、ぴったり4回目のレメロンが切れるころに間に合った。
5グラムの小さなチューブである。
使い方は簡単で、1日1回、猫の耳の内側に塗る。皮膚から吸収されて効くのだという。
さあてホントかウソか(いや信じてるけど)、試してみた。
規定量は軟膏1.5インチ(約3.8センチ)。線のように出して長さで計るわけだが、絞り出し方で太さが変わるから正確とはいえない。ただ日本の軟膏で定番の「適量を塗布」よりはよほどマシな表現だと思う。あの表現はほぼ何も教えてくれない。
ムギは体重2.3キロの小さな猫なので、まずは規定量の3分の1で始めてみた。
大事な注意点は必ず使い捨て手袋を使うことだ。皮膚から吸収される薬だから指で塗ると人間にも効いてしまう。妙に食欲が出てしまうかもしれない。
果たして、動物病院でレメロンを飲ませてもらったときと比べたらまったく効果は小さかった。ゼロではないが明らかに不充分だった。そこで翌日は2分の1にしてみた。やはり効果は小さかった。1日おいて3回目は3分の2にしてみた。それでも物足りなかった。
ここに至ってようやく有効成分量を比べてみようという気になった。
レメロンとミラタズの有効成分はまったく同じもの、ミルタザピンである。
レメロンは病院で15mg錠をピルカッターで4分割し、1回に1つずつ服用した。3.75mgである。
ミラタズは説明書を読むと、規定量(1.5インチ)で2mg!
効きが悪いわけである。規定量でもレメロン4分の1錠よりだいぶ少ないのにさらに減らしていたのだから。
というわけで今日は規定量通りにしてみた。また、耳の皮膚が汚れていると吸収が悪いかもしれないから、少していねいに耳の掃除をした。
すると、今のところ過去の3回よりも効いている気がする。
おかわりもしてくれた。(やった!)
やはり説明書はちゃんと読むものだ。
5グラムの小さなチューブで送料含め7000円以上するのは痛いが、ムギにストレスなく薬を与えられるなら安いものだ。(いやどうかな?)
塗る量や間隔(毎日か1日おきかなど)についてさらに研究を深めたい。
ミラタズ軟膏は猫専用の薬
レメロンは人間用の抗うつ剤で、猫や犬に使っているのは副作用の転用に過ぎないが、ミラタズはアメリカで猫の食欲増進(体重増加)のために開発された薬である。
FDA(アメリカ食品医薬品局)から承認を受けた初めての非経口型食欲増進剤とのこと。
まさにムギのように、食べられない悩みがありながら食欲増進剤を飲ませるのが困難な猫のためにサンフランシスコのキンドレッドバイオサイエンス社が開発し、2018年に発売した。つい最近だ。
耳に塗るだけなら本当に簡単で、ムギもまったく嫌がらない。ミラタズ軟膏があってよかった。
日本ではまだあまり普及していないらしく、お世話になっている動物病院の先生も「知ってはいるがまだ実際に使ったことはない」とのことだった。それもあって、上に書いたように自分で手探りしている。
(by 風木一人)