子曰く、唯(ただ)女子と小人とは養い難しと為(な)す。これを近づくれば則(すなわ)ち不遜なり。これを遠ざくれば則ち怨む。
(陽貨 二十二)
――――孔子曰く、「女と小人は扱いが難しい。親しくすると思い上がるし、遠ざければ怨む。」――――
男のぼやきというのは、いつの世も変わらないようである。さて、「養い難し」と言わせるほど孔子と親しかった女性とは誰だろう? やはり奥さんだろうか。
孔先生が弟子の男たちに向かってこれを言い、弟子たちが、「そうですよねえ。まったくやんなっちまいますよねえ。」とか応じたのだろうか。意外と子路あたりが、「うちの奥さんは優しくて可愛いですよ」とか言って、みんなから総スカンを食ったりして。
孔子の奥さんがどんな人だったか、記録がほとんどないそうだが、奥さんからすれば、孔子の方がよほど「養い難し」だったろう。君子だか、学があるのか知らないが、やたらと理屈を言って、偉い人と喧嘩するから公職にはつけないし、そのくせ祭礼だの儀式だのには手間も暇も金も惜しまない。食べるものにも着るものにもうるさい。こんな亭主とよく一緒に暮らしたものである。
孔子夫人曰く、唯男子と君子は養い難しと為す。これを放任すれば則ち尊大なり。これに苦言すれば則ち怒る。
奥さんも辛いのである。
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