大笑いのフランス映画、オジサンたちのシンクロを描く快作「シンク・オア・スイム」

久しぶりに劇場でみんなと大笑いしながら映画を見た。フランス映画の「シンク・オア・スイム~イチかバチか俺たちの夢」である。色々と仕事や家庭に問題を抱えた等身大のサエない中高年のオジサンたちがシンクロナイズド・スイミングを始めることで元気になっていく映画だ。

「シンク・オア・スイム~イチかバチか俺たちの夢」

監督:ジル・ルルーシュ 出演:マチュー・アマルリック ギョーム・カネ ブノワ・ポールブールド他

ウツで2年休職している者、妻や子とコミュニケーションが上手く取れない者、願望だけは大きいが会社経営がちゃんと出来ない者、未だに音楽の夢を追い続け現実にはワビしいトレイラー生活を続ける者といった様々な中年男性が登場する。
そんな彼らが公営プールでシンクロチームを結成し、「ノリ」と勢いで世界選手権に出場する(フランスの参加チームが一つしかなくて。すなわち脚本は甘い。でも許そう)。

ストーリー的にはまあパターン化された「お約束」が入っているが、優れているのはコーチが二人存在する設定だ。性格も指導法も違うのだが、二人目が強烈なキャラで映画全体に活気と溌剌さを与えている。彼女が指導を開始するところから俄然面白くなる。
ストックホルムでの世界大会に出場するが、その時のパフォーマンスがあっと驚く素晴らしさだ。映像と音楽の組み合わせがとても上手く行っている。水中から、彼らの懸命の立ち泳ぎを捉えるショットも効果的だ。
金が無くて行きも帰りもマイクロバスで移動するのだが、帰りの日の朝方、皆は車から降りて、昇る太陽を見る。横長のスクリーンが効果的で、そのショットがとても美しい。男たちの再生のドラマを見た後だからか、自然に「ライフ イズ ビューティフル」と言いたくなるような感慨を持った。

「フル・モンティ」監督:ピーター・カッタネオ 出演:ロバート・カーライル トム・ウィルキンソン他

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さて、サエないオジサンたちがスポーツやパフォーマンスで元気になっていく、というとすぐに1997年末に見た英国映画「フル・モンティ」を思い出す。「フル・モンティ」とは英語の俗語で「すっぽんぽん」という意味であることはこの映画で知った。

不況になって寂れていく鉄鋼業の街シェフィールドで、失業してしまった中年男性たちが人生一発逆転のため、ストリップを始めるという、これも笑いと涙の物語であった。劇場でのデビューとなるラストシーン、歓声や嬌声が上がる、熱気ムンムンとした雰囲気の中、それまで帽子で男性の大事な部分を隠して踊っていた連中全員が帽子を客席に投げ入れて「すっぽんぽん」になる、そこで映像がストップした鮮やかなラストシーンは今でも覚えている。

1998年に日本公開だが、この年、「プライベート・ライアン」や「タイタニック」に伍して、キネマ旬報では堂々5位にランクし質的にも高く評価された作品だった。

好きな映画をもう一本!

「ウォーターボーイズ」監督:矢口史靖 出演:妻夫木聡 玉木宏ほか

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男のシンクロなら、もちろん、我が日本映画「ウォーターボーイズ」だ。埼玉の川越にある県立川越高校という男子進学校の水泳部が文化祭発表のために「シンクロ」を行っていることに着想を得て、若手の俳優を使って、男子高校生がシンクロに取り組む、涙ぐましくも滑稽で必死な様子が描かれた。

基本的には軽いコメディ映画ではある。例えば、部員が水族館で水槽を掃除する作業をずっとやっていて、その腕の動きが、シンクロの優美で力強い動きにつながっていたという、ホンマかいなと思うギャグもある。しかしながら、クライマックスの水泳の本番のシーンでは、川越高校の実際の部員も協力したのだろう、目を見張るような素晴らしい演技を披露した。ダイナミックにしてエレガントかつユーモラスだった。当時これによって「男のシンクロ」という言葉が定着したくらいだ。

若手の役者は妻夫木聡や玉木宏(二人とも若い、20歳!)らで、現在も活躍している。2001年に公開され、これまたキネ旬5位という高い評価を得ている。

因みにこのシンクロが見られる文化祭は「くすのき祭」と呼ばれて、毎年9月に行われている。男のシンクロはこの文化祭の目玉イベントである。私も一度この文化祭に足を運んだことがある。長い行列に並び、プールサイドで若い女の子が沢山いる中に交じって生の演技を見たことが思い出される。圧倒される演技だった。

(by 新村豊三)

※国際水泳連盟が2017年7月に種目名を「シンクロナイズドスイミング」から「アーティスティックスイミング」に変更しましたがまだ充分知られていないため本文中では「シンクロ」と表記しています。

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