ロミー・シュナイダーとアラン・ドロンの共演作。そして「仁義」「サムライ」

前々回ロミー・シュナイダーが出演する「離愁」のことを紹介したが、今年は彼女の没後40年にあたり各地で彼女の映画の特集上映が行われている。

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アップリンク吉祥寺という映画館で見たのが、ロミーがアラン・ドロンと共演したフランス映画「太陽が知っている」(1969)。犯罪映画だが、正直言うと、前半あまり話が面白くない。
田舎でバカンスを過ごすロミー・シュナイダーとアラン・ドロンのカップルのところに、シュナイダーの元カレが遊びにやってくる。この元カレの態度に怒ったドロンがある夜、元カレをプールに沈めて溺死させてしまう。後半、事件を担当する刑事の登場で次第にサスペンスが生まれてくる。

原題は「La Piscine」、何と「スイミングプール」なのだ。1960年に大ヒットした、アラン・ドロンの出世作傑作「太陽がいっぱい」にあやかって邦題をつけているのは明白だ。夜の事件なので、「太陽は知らない」だろうとおちょくりたくなってくるが。
この映画の見どころは、やはり、実生活でも恋人同士だった(撮影当時は既に別れているが)ドロンとシュナイダーの共演だろう。
シュナイダーは、これぞゲルマン美人と言いたい容貌で目が美しい。ドロンは、裸になっても上半身はがっしりしているし、陰のある美男子の雰囲気を漂わせていて悪くない(ドロンは、17歳で軍隊に入り、2年間インドシナ戦争に従軍している)。

最近、60年代70年代のアラン・ドロンの人気が絶頂だった頃の映画を見ているのだが、面白い作品が一杯ある。特に、ジャン=ピエール・メルヴィル監督と組んだフイルムノアール(犯罪映画)にはシビレてしまう。

『仁義』監督:ジャン・ピエール・メルヴィル 出演:アラン・ドロン イヴ・モンタン フランンワ・ペリエ他

『仁義』監督:ジャン・ピエール・メルヴィル 出演:アラン・ドロン イヴ・モンタン フランンワ・ペリエ他

そのシビレる映画の一つが1970年の「仁義」だ。犯罪歴のある男が3人、パリで宝石強盗を行う話であるが、その3人(アラン・ドロン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、イヴ・モンタン)の出会い方がまずカッコいい。そして、宝石強盗の手口のディテールの描き方が面白い。ラストの警察との対決もなかなかいい。
それが、この監督のスタイリッシュで、ストイックで、台詞の少ない緊張感のある画面で描かれる。撮影のアンリ・ドカエのカメラがひときわ冴えている。

好きなシークエンスは幾つもあるのだが、ひとつだけ挙げる。ヴォロンテは、列車による護送中、手錠をはずして列車から降りて脱走する。小雪舞う中、森や草原を逃げていく。全く赤の他人であるアラン・ドロンは仮出所したばかりだが、知り合いから大金を頂戴し、車に乗って旅を続け、ドライブインで休む。その後のシーンで、アランが驚き観客も驚くのは、ヴォロンテが、トランクの中からひょいと姿を現わす展開だ。そして、ヴォロンテは追ってきた別の二人のギャングを持っていた銃で平然と撃ち殺してしまう。
言葉ではうまく面白さが伝わらないのだが、その撮影の見事さ(色調、雰囲気)もあって、この作品は映画的魅惑にあふれるのだ。
また、もう一人、個性あふれる人物がいる。列車の護送で逃げられてしまったものの、執念で犯人を追いかけていく刑事を演じたプールヴィルだ。一度見たら忘れない、鼻の曲がった顔をしており、彼も本当にいいのだ。残念ながら、彼はこの作品を遺作として、53歳で亡くなっている。

「サムライ」監督:ジャン=ピエール・メルビル 出演:アラン・ドロン フランソワ・ペリエ ナタリー・ドロン他

「サムライ」監督:ジャン=ピエール・メルビル 出演:アラン・ドロン フランソワ・ペリエ ナタリー・ドロン他

監督のジャン=ピエール・メルヴィルは、ドロンと組んで「サムライ」(1967年)という、これもフイルムノワールの秀作を撮っている。以前スクリーンで見たことがあり、今度は配信で見た。

殺し屋のドロンは警察から追われて地下鉄の駅の中を逃げるのだが、映画を時々止めて、手元のスマホで、パリのどのメトロで、ドロンが動いているのかを確認したりした。刑事に追われ、「動く歩道」で仕切りをひょいとまたいで方向を変えて逃げおおせるなんていう演出がカッコよく、どこの駅なのか調べたくなってくるのだ(因みに2号線のベルヴィル駅)。
止めて見るなんて邪道かもしれないが、一度見た映画なら21世紀の映画鑑賞法としてこんな見方もあっていいだろう。若者の「ファスト映画」の逆を行く、ジイさんの「お散歩映画鑑賞法」だ。

この映画でもそうだが、アラン・ドロンは、彼自身の恵まれない育ちもあってか、美貌ではあるが、表情に陰りがある。そこがいい。リアルタイムで見ていたらきっと大ファンになっていただろう。
尚、この監督には、「賭博師ボブ」(1956)、これもドロンが出る「リスボン特急」(1972)があり、どちらも是非とも勧めたい映画だ。

(by 新村豊三)

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