第218話 最新版!電車内での贅沢な過ごし方

週に3日のアルバイトで電車通勤をするようになって、丸5年が過ぎました。

最初の頃の私は、「通勤時間=有効活用する時間」と気合が入って……

電車に乗っている20分弱の間に、本を出して老眼鏡をかけて読書をして、降りる駅の直前に栞を挟んで、本が傷まないように丁寧にしまって……と、手順が多くて忙しかった問題を、スマホで文字を馬鹿デカくして電子書籍を読むことで解決しました。

また、四角いリュックを電車内で机にしてコワーキングスペース化したことを、以前、ご紹介した事もありました。

リュックを買い替えてから、通勤電車が快適になりました。ちょっとした作業が楽になったのです。例えば……

しかし最近になってようやく私は気づいたのです。

電車の窓からの景色は、それはそれは雄大でダイナミックです。

数メートル先を歩く通行人の姿、数十キロ先の街並みや山々の広がり、さらに遠くの数百キロ先から流れてきたような雲……

この贅沢な景色が、さらに、電車が走ることによって、刻一刻と変化していくのです。

……なーんて健康法をご紹介したいのではありません!

これほど景色を楽しめるのに、私は、「交通の手段」というあまりにも日常的な目的と安い運賃のせいで、電車が持つ本来の魅力を見落としていたのです。

そう気づいてからというもの、私は電車の中では何もせず、ただずっと窓の外を眺めるようになりました。

すると、こんな発見がありました。

それは……

このような、ちまちました考えが頭をぐるぐる巡っている時というのは……

 

決まって自分のすぐ近くの物(例えば爪のささくれ)なんかを見ているか、あるいはどこにも視点が合っていない(虚空を眺めている)時なのです。

こんな時、遠くの広大な景色に目をやると、不思議と、そんな奥歯をギリギリ鳴らすようなことを考えられなくなってしまうのです。

これはリラクゼーション?

さらにメディテーション?

そんなエンターテイメント?

これが、電車通勤5年を過ぎた私の持論です。

(津川聡子 作)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第218話 最新版 電車内での贅沢な過ごし方」いかがでしたでしょうか。わかる! 非常にわかる!! 本を読みたすぎて読んでしまう時もあるけれど……それで本に集中できないとネガティブ思考してたりするんだろうか? トレインメディテーションの結果、視点の遠近での気分の違いを発見するとはさすがサトコさん! と、頷きまくった私です。空に面白い形の雲、遠いのになぜかパッと目についてしまった変な配色のビル。それに富士山が見えた時のラッキー感と言ったら。あなたは電車の中、いかがお過ごしですか?

「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪

※ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内>

 

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