今回は、連載小説から少し離れようと思います。
何を書こうか迷ったのですが、食べ物の話をしてみましょうか。
趣味というほどではないですが、たまに近郊の山に日帰りで出かけます(今年は新型コロナの影響でなかなか行けませんが)。そのうち2回に1回くらいは、携帯用コンロと食材を持って行って現地で「山メシ」を作ります。
楽しいからというのがいちばんの理由ですが、「最小限の材料と設備でご飯を作る」練習をしておくと、災害時にもきっと役立つので、なんだか自分が強くなったような気になれます。
山メシにはいくつかのポイントがあります。
・保冷の必要のない食材を使う
・食材を素手で触らない
・短時間でできる
・作ったものは全部食べる(ゆでるのに使ったお湯を捨てたりしない)
・できるだけゴミを出さない
他にもありそうですが、大まかにはこんなところでしょうか。
けっこう制約がありますよね。
まず、ざるそばやそうめんは大量のゆで汁を捨てるので×。
豚汁などの汁物は良さそうですが、火が通りにくい根菜はあらかじめできるだけ薄く切っておく必要があります。冬場なら生肉は冷凍して持って行けばいいですが、夏場はおすすめできません。
あれこれ考えた末に試してみて、「これは良い」と思った山メシが「パエリア」です。
ご飯を炊くのも、飯盒は難易度が高いですが、フライパンなら失敗する率は低いです。
大手食品メーカーの「パエリアの素」を使います。
生の魚介の代わりにあさりの水煮缶詰、肉の代わりにドライソーセージ。
炒め用のオリーブ油はお弁当用の醤油入れに入れていきます。
生のにんにくを刻んで持って行ったのですが、荷物の中からかなり臭ったので失敗。にんにくを使うならチューブ入りが良いでしょう。
フライパンは家庭用の小さめのもの(18cm)。ガラスのフタは重いので、アルミホイルで代用しました。もしかしたらフライパン本体も、使い捨てのアルミ鍋で代用できるかもしれません。今度試してみましょう。
携帯用コンロは、登山専門店でいろいろ売っています。専用の燃料カートリッジを使う商品が多いですが、家庭用のカセットコンロのボンベにつけるタイプの商品はお手軽です。
点火装置は付いている場合もありますが、トーチ(チャッカマン)を一緒に持って行った方がいいでしょう。
さらに荷物を軽くしたい場合は、旅館の夕食の一人鍋に使う固形燃料を使うという手もあります。
山の上で作ったパエリアは、控えめに言っても「最高」でした。機会があればお試しください。
(by 芳納珪)
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