〈赤ワシ探偵シリーズ1〉フロメラ・フラニカ第十四話「花恵」
「きさま、花恵さんを花に変えてしまったのか! きさまの先祖が原地球人を作り変えたように!」 私は、湧き上がる怒りに我を忘れて、アマト・エースにつかみかかろうとした。 そのとき、 ...
「きさま、花恵さんを花に変えてしまったのか! きさまの先祖が原地球人を作り変えたように!」 私は、湧き上がる怒りに我を忘れて、アマト・エースにつかみかかろうとした。 そのとき、 ...
私は息を飲んだ。 むせ返るような色彩と、甘い香りの洪水。 めまいがするほどの、生命の喜び。 扉の向こうに広がっていたのは、眩いばかりの花園だった。 「……これが『フロメラ・フラニカ...
長い通路を歩かされた。前後左右には、コップ型ロボットがぴったりとついている。 通路は狭く、天井は低く、配管が何本も通っている。 どれくらい歩いただろうか。 先頭のロボットが、通路の壁にあるド...
コロニーは、よくある円筒型やドーナツ型ではなく、小惑星の中をくり抜いて作られたタイプだった。そのため、一見してコロニーとはわかりにくい。 データ上では廃棄されたことになっているが、電気は通っ...
「花恵さんと『フロメラ・フラニカ』との関わりに心当たりは?」 快適な助手席のシートに収まった私は、操縦席のレオネに話しかけた。 シャトルはすでに宇宙空間に出ており、サイドの窓から青い地球が見え...
コーヒーを吹きそうになった私に、レオネは、水星人の妻の花恵とのいきさつを話した。 レオネは幼く見えるが、起業して自分の会社を持っている経営者だった。 花恵とは大学で出会い、親友になった。しかし...
「声をらヽすな」 背後から浴びせられた言葉は、とても滑舌が悪かった。 私は落ち着いて返事をした。 「騒ぎ立てたりしませんよ。でも、せっかくですが、このネクタイは私には似合わないようだ。ほどい...
紙魚たちが閉架書庫に入ってから、数時間が経っていた。その間、私は開架室で『長いお別れ』を読んでいた。もうほとんど暗記しているのだが。 私は本から目をあげ、あたりを見回した。 ……どうもさっ...
図書館の扉の前でガラス瓶から放たれた俺たちは、我先にと扉の隙間から侵入した。 古びた書物の芳しい香りに、くらっとする。 大きな部屋の四方の壁が、すべて書棚になっている。高い天井には壮麗な天...
帝立図書館は、その名の通り、皇帝がいた時代に作られた。 だから、ずいぶんと下の階層にある。 私は、街塔の外側についているエレベーターの駅へ行き、下り線に乗った。乗り合わせたのは、ウサギ...