「われらの王が目覚めるとき」
白い羽毛がふわふわと舞い落ちてきた。
丘のてっぺんの木立の中から、ふーっ、 ふーっ、と息をするようにふきだしている。
ふもとの村から様子を見に行ったものたちが、興奮して戻ってきた。木立に守られて眠る王の、閉じられたまぶたが動いているという。
村はにわかにあわたただしくなった。
村長の指示のもと、ありったけの薪を集めて湯をわかし、沐浴の準備をととのえる。
鍋いっぱいにヒエの粥を作る。
柔らかい枯草で、上等の寝床を編む。
百年ぶりに目覚める王は、どんな言葉を発するだろうか。
(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)
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