ホテルを利用する。
同じ日に宿泊している客はたくさんいる。
しかし知っている人は誰もいない。
ロビーや廊下ですれ違うことはある。
レストランやバーを利用すればもう少し長い時間を近接して過ごすこともある。
それでも見ず知らずであることに変わりはない。
見ず知らずが集まり同じ屋根の下で一晩明かす、
この奇妙な距離感こそホテルという場所の醍醐味だろう。
一般的には。
そう、一般的には。
わたしのように長期逗留している者はやや異なる。
ホテルで友人ができるのだ。
たとえば1666号室の北野玲さん。
わたしは酒が好きというほどでもないが、嫌いというわけでもないので、ホテルのバーにはちょいちょい立ち寄る。
そこで何度か顔を合わせるうち、どちらからともなく世間話などするようになったのが、画家の風貌を持つ山男、北野玲さんだ。
もうずいぶんのつきあいなので北野さんを語れば長い。
ご存知のとおり「魔談」という恐ろしげな文章を連載されているが、あれは北野さんのほんの一面に過ぎないといえるだろう。
昨夜北野さんからいいニュースを聞いた。
デザインコンペで入賞されたというのだ。
「まちなかアートデザインコンテスト@高円寺」で、高円寺賞を受賞、なんと町のトランスボックスが作品でラッピングされるという。
いや、もうされているという。写真も見せていただいた。
おお!
これはデカイ。目立つ。
高円寺名物阿波踊りですな。
場所はJR高円寺駅南口出て30秒、「すしざんまい」向かいの歩道とのこと。
数年にわたり展示されるらしいから、高円寺に行かれる方はぜひご覧になっていただきたい。
北野さん、おめでとうございます!
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