ぐっちーさんと話そう<34>リストロサウルス〜ご先祖様がどんな人だか知りたい人へ

弱そうなご先祖様 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

Twitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「リストロサウルス〜リストロサウルスは恐竜の繁栄に貢献していたかもしれない」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

犯人は現場に帰らない。痕跡から推理するしかない。

早速、トリフィドさんからコメントいただきました。

リストロサウルス、どんな生き物なのかな? とワクワクしているとこの姿ですもんね。泣けます。

食べられている方がリストロサウルスです by Dmitry Bogdanov

ハダカデバネズミは妄想旅ラジオで取り上げられたので妄想旅ファンにはおなじみですね(ということはこの「妄想生き物紀行」にも今後登場予定です、お楽しみに!)。ちなみにこんな姿をしています。確かに似ています。

ハダカデバネズミは「真社会性生物」。ハチやアリのように、群れの中の特定の個体だけが繁殖する、それぞれ決まった役割を持つグループに分かれる、などの特徴を持つ生物です。

リストロサウルスの生態を知るヒントは、化石に求めるしかないわけですが、化石って、どれくらいのことがわかるものなんでしょう?

リストロサウルスの化石は世界中から出ているとはいえ、難しいですよね。近くからたくさん出てきても群れなのかたまたま近くにいたのかわからないし、群れだとしてメンバー全員勢揃いなのかどうかわからないし。

それもあった! オス2:メス3 という比率で化石が出たからといって、実際の性比なのかどうか。Twitterなどで「みんながそう言ってる」ような気がしても実際は「みんな」なわけはない。ってのと似ているような似ていないような。

要は化石になって残るというのが果たして「ランダムな抽出」かどうかという問題ですけれど、よほど特別な条件が揃ってこそ化石になって残るのでしょうから、たぶんランダムじゃない。かといってランダムじゃなさ加減がわからないという難しさ。

とても面白そうですが難しそうです。「犯人は現場に帰る」とよく言いますが、化石の場合犯人(じゃないけど化石に関連する生物一切)は現場に戻ってくることはあり得ません。張り込んで捕まえられなければ推理するしかないのです。

そして巣が見つかれば社会性の痕跡はわかりそうですが、ところで「巣の化石」って普通にあるんでしょうか?

教えてぐっちーさん!

足跡の化石もあるし巣の化石もあると! リストロサウルスの楽しい我が家の化石が見つかれば、どんな生活を送っていたのかけっこうわかりそうですね。

ところでこの足跡、歩幅けっこう狭くないでしょうか。左右の足がモデルウォークのように一直線を描いて見えるのも気になります。この足跡だけからでもいろいろなことが推測できそうです。

リンク先は2014~2015 に行われたクラウドファンディングのプロジェクト。目標金額に達してプロジェクト成立したようでよかったです。モササウルスの鞏膜輪(強膜輪とも書くそうです)を調べまくって研究が進んだはず。鞏膜輪とは目の構造をなす部分のひとつで目の中で唯一化石として残り、その大きさから「どれくらいの光を取り入れていたか」などがわかるそう。

うさぎは耳が大きいからよく音が聞こえるだろうとか、特徴的な形質は特徴的な生態と関わっていそうです。ってそこまで素朴な話じゃないか……まあいい、それはさておき、「鞏膜輪」という言葉、私はぐっちーさんのエッセイを読んで小林先生の質問バックナンバーを読んでみたおかげで、数日前に知って覚えたばかりだったのです。その質問とは「『ティラノサウルスが昼も夜も狩りをしていた』ってどうしてわかるの?」というもの。うん、骨しかないのにどうしてわかる? 見たの? と不思議です。そのカギが「鞏膜輪」。もちろんそれだけではなく、様々な方面からの推論のようです。

リストロサウルス&穴 の化石も見てみたいものです。巣穴なのか捕食者に引き込まれたのかでだいぶ見方が変わってくるでしょう。まだまだ謎めいた存在なのですね。

トリフィドさん、どうもありがとうございます!

たまごからご先祖様

ホテル暴風雨風オーナーからはこんな質問がありました。

哺乳類の出現が恐竜絶滅の一因だと聞いたことがあるようなないような。ということは、ペルム紀の終わり頃の「哺乳類の祖」とはいったいどんな生き物だったのか、知りたいですね。

なんと、リストロサウルスこそがご先祖様か〜! 食べられまくったけど強い子孫を残して恐竜たちに一矢報いたのか!

そこへふわゆさんからもご質問いただきました。

それ気になります、どっちなんでしょう?

爬虫類ですもんね。タマゴっぽいですよね。

ちなみにリストロサウルスのタマゴの化石なんか残ってないのかなあ? と検索してみると、「リストロサウルスのタマゴの入手方法」なんて記事がいっぱい出てきて我が目を疑いました。入手……できるの!? と思ったら、恐竜と戦ったりアイテム集めたりするゲームの攻略サイトでした。ああ驚いた。ところで、

これが前からモヤモヤするのです。哺乳類のアイデンティティといえば子供を産む(胎生)ことと哺乳することと、爬虫類はどっちもしない、その点この二者はあからさまに排反なグループという思い込みがあります。それなのに「哺乳類型爬虫類」って、「赤っぽい青」みたいな矛盾的命題では。リストロサウルスのどのへんが哺乳類型なんだ? ちょっと調べても特有の骨の形が云々とあり、その骨がどれだけ重要なのか素人にはさっぱりわかりません。

言われてみれば確かに「途中」がいるわけですね。

しかしですよ。「骨の形」は徐々に変化した中間の形というものが想像しやすいですが、卵生から胎生になる途中ってどんなことが起きていたんでしょう。未熟な胎児を産んで育児嚢で育てるコアラのような有袋類は古い系統の哺乳類だそうですが、もっと古いご先祖様は、未熟な胎児ではなく「タマゴ」を体の中のポケットに入れて持ち運びながら孵したんでしょうか。とすると、「ポケット」が哺乳類の肝かもしれません。「ドラえもん」に慈母の風格というか溢れんばかりの母性を感じることがあるのもむべなるかな、ですね(そうなのか?)

そして科学者たちがリストロサウルスの化石、発見! 地球生物の進化の秘密に一歩近づいた! とエキサイトしている場面も、リストロサウルス側から見ると、もしかするとご先祖様が登場して心配のあまりお小言を言う磯野家のお墓参り(ご先祖様のビジュアルはほぼ波平)みたいなシーンなのかもしれません。名作漫画から学ぶことは実に多いものです。話が逸れました。

風オーナー、ふわゆさん、どうもありがとうございます!

では今回はこれにて!

ページトップの絵は、自称ご先祖様(見たことのない怪しい容貌、しかも弱そう)が現れたら人(や猫など哺乳類)はどうするかという妄想です。

やっぱり怪しいし弱そう

次回のエッセイのテーマは「カブトガニ」です。ペルム紀よりも古い古生代からあまり姿を変えずに続いてきた「生きた化石」。化石は化石でも現場に帰ってくるかもしれないタイプ。妄想旅ラジオ第35回「カブトガニ」を聴くと、地球史におけるカブトガニのサバイバル術がわかる……かも? 面白いのでぜひ聴いてみてください。エッセイにははたしてどんなお話が飛び出すか、どうぞお楽しみに。

そしてエッセイを読んだ後はまた、 Twitter でもお会いしましょう!

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