から騒ぎ

みなさま、こんにちは。
ホテル暴風雨総支配人、テンペストです。

お読みになりましたか、4649号室、浅羽容子様が執筆・公開中の「シメさばケロ美の小冒険」の新作「修学旅行は暴風雨(1)」を!
なんと、修学旅行のお客様が当ホテルにいらっしゃるかもしれないとは。これは張り切って準備をいたしませんと。それにしても、「住所」ってなんでしょう。美味しいんでしょうか。それが見つからないからといってそんなに大問題なのでしょうか……というのはまあ、冗談ですが、そんなに慌てなくてもご縁のある方はいずれいらっしゃるはず。
それより、浅羽容子様のご本名と素顔、こんな個人情報を公開してしまって良いものか、そっちが気になりますよ。
そうだ、今日はこれから豆試食会の打ち合わせでした。こうしちゃいられません……。

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みなさま、こんにちは、客室係のハナです。

あーたいへんたいへんたいへん、たいへんです!!
「シメさばケロ美の小冒険」を読んだら、ケロ美ちゃんたちが暴風雨に修学旅行に来たいのに、住所が分からなくて連絡が取れないって言ってます!今すぐシェフ・シムシムかメギさんに、こちらから連絡を取ってもらわないと。探してるのに、こんな時に限って見つからないなんて。どこに行っちゃったんでしょう?あっ!あそこにいるのは、

ジュロウ:「ま〜めまめ ま〜めまめ 豆料理〜♪っと。豆もたくさん収穫できたし、メギくんのおかげできのこも大猟、だんだん試食会も楽しみになってきたぞ。さてこれから総支配人と打ち合わせだ」

ハナ:「ジュロウシェフ、すみません、シェフ・シムシムを見かけませんでしたか?」

ジュロウ:「ええっ、またシムシム先生が何かやらかしましたか?」

ハナ:「いえ、そういうわけじゃなくて、でも急ぎの用事があるんです」

ジュロウ:「う〜ん、どうも近頃平和すぎて怖いくらいだと思ったら、おとといくらいから先生の姿を見てないなあ」

ハナ:「そうですか、ありがとうございますっ」

ジュロウ:「何だろう、あんなに全力疾走して。ハナさん意外と足が速いね、時速20キロは出ているな……転ばなきゃいいが」

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みなさま、ベルボーイのメアカですよ。たいへんたいへんたいへんた〜いへん!なんです、ケロ美ちゃんたち2年157組の皆さんが、修学旅行に!!

メギくんったらしばらく見かけないけど、何やってるんだろう、今すぐケロ美ちゃんたちをご案内しないとダメじゃないか!メギくん、メギくん、メギくんや〜い。あ、あそこにいた!ああでも追いつけない、これを投げちゃおう!

メジロ:「ああ、今日は本当に忙しいなあ。ベルのみんな、何してるんだろう、まさかまたぶらんこに乗って遊んでるのかな」

(ポカッ)

メジロ:「あいたた、何か飛んできたぞ。んん?何だこりゃ?カエル頭巾だ!てことは、メアカくん!」

メアカ:「ややっ、こ、これはキャプテン、ごきげん麗しゅう」

メジロ:「ごきげんどころじゃないでしょう。この忙しいってのに、何を仕事中にカエル頭巾で遊んでるの!しかも、投げてぶつけるって!カエル頭巾の扱いが雑すぎ!」

メアカ:「え、そっちですか?あ、あの、忙しいのでメギくんに手伝ってもらいたいのに見つからなくてですね……」

メアカ:「そうなの?でもメギくんだって別の仕事してるのかもしれないし、探すのはほどほどに、メアカくんも仕事仕事仕事!」

メアカ:「ハイ、キャプテン!」

いや〜参りました、メギくんかと思ったらキャプテンだったなんて。よく私たち、そっくりで見分けがつかないなんて言われるんですよ。言われるたびに憤慨してましたが、考えてみたらやっぱり似てますよねえ……それにしてもメギくん、どこに行ったんだろう。お〜い、メギくん!

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ハナ:「あ、あそこに見えるのは間違いなくメギさん!ずいぶん慌てて走ってます、追いつかなきゃ!メギさ〜〜〜〜〜ん!!」

メアカ:「ん?今誰かメギくんを呼んでた?どこどこ、メギくんどこ?」

ハナ:「メギさ〜〜〜〜〜ん!……ってあれれ?メアカさんでしたか」

メアカ:「ひどいなあ、ぼくとメギくんじゃ全然似てないじゃない」

ハナ:「そっくりですよ!後姿なんてもう全然見分けがつきませんって」

メアカ:(……やっぱり人に言われるとちょっと腹が立つなあ)

ハナ:「それよりたいへんですよ、ケロ美ちゃんが、ケロ美ちゃんが!」

メアカ:「そうそう、それで今ちょうど、シェフ・シムシムかメギくんを探してて」

ハナ:「私もです。とりあえず紛らわしいのでメギさんと違う格好してください」

メアカ:「う〜ん、こんな感じ?」

ハナ:「完璧です!じゃあ、がんばって探しましょう!」

メアカ:「健闘を祈る!」

う〜ん、見つからないなあ、どこに行っちゃったんだろう?
そうだ、すごくいいことを思いついちゃいました。ジュロウシェフに頼んで、ひとっとび探してもらえばいいんです!マッハ10で飛べるっていう話だし、シェフ・シムシムに大事な用だと言ってお願いすればきっと……確か、総支配人と打ち合わせだとかって……ということは、総支配人室だ!

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メギく〜ん!シェフ・シムシム〜!
やみくもに探してもどうしようもないなあ。
あ、そうだ。移動者郵便局のフミさんにお願いして、こちらからお手紙を出せばいいんじゃないか!でも今度フミさんが来るの、いつだっけな?誰に聞けばわかるんだろう。キャプテン?……なんか怒られそうだし、そうだ、いっそ総支配人に聞けば間違いないぞ!

メアカ:「総支配人〜!あれ、向こうからしっぽを振り振り疾走してくるのは……」

ハナ:「ジュロウシェフ〜!あ、向こうから飛んでくるカエル頭巾、あれは……ぶ、ぶつかる!!」

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テンペスト:「妙に外が騒がしいですね。近頃やれ豆の料理だ、ぶらんこだ、ニットだと、豆、豆、でホテルは大騒ぎ。賑やかなのはいいですし、確かにあの豆は食材としてもレジャーとしても被服材料としても貴重な資源ですが。おや、今何か衝突したような音が?」

テンペスト:「討ち死に、もしくは行き倒れの者二名。うち一名は奇妙な扮装、と。……いやいや落ち着いて観察している場合じゃありません。メアカくんにハナさんじゃないですか。一体何をしてるんです、あなたたちは。物騒なことはいけません、ここはホテルですよ」

ハナ:「ぶっそう?……とにかくたいへんなんです総支配人!」

メアカ:「……話すと長くなるのですが総支配人、討ち死にではありません、それより……」

ふむ、二人とも何をこんなに慌てているんだか。落ち着いて、奇妙な扮装は解いて、というか、仕事中じゃないんですか?

どうもしばらくはホテルが落ち着かない予感がしますね。テンペストでした。


ホテル暴風雨ではみなさまからのお便りをお待ちしております!

「ホテル暴風雨の日々」続きをお楽しみに!暴風雨ロゴ黒*背景白


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