将棋ストーリー「王の腹から銀を打て」第19回
「新庄くん、お兄さんと歳はなれてるんだね」 シュウイチが一階に下りたとき、アサ子が意外そうに言った。 「うん、説明すると長いんだけど――...
心しか泊まれないホテルへようこそ
「新庄くん、お兄さんと歳はなれてるんだね」 シュウイチが一階に下りたとき、アサ子が意外そうに言った。 「うん、説明すると長いんだけど――...
ベッドのはしにすわって、カズオは続ける。 「兄さんは詰め将棋の問題出してくれたり、本で定跡教えてくれたりするでしょ。同好会の人は指すだけな...
「どうも佐野の言う方が正しいよ。同じメンバーでがんばろうぜ」 と、トモアキは言った。 もともとトモアキはチームを強くするために、メンバー...
「だって、負けたときと違うメンバーでかたきを討ったってしかたないでしょ?」 アサ子は言った。理屈はもっともだ。しかし、昨日あれほど嫌がった...
「ジュン、ニュースだ」 トモアキは朝学校につくとすぐジュンに報告しにいった。ジュンはランドセルから出した教科書とノートを机につっこみながら...
勝った相手は、ほっとしたせいか、無神経なことを言った。 「まあ二歩打たなくてもこっちの勝ちだったけど」 トモアキはむかっと来た。せめ...
青葉小+1は二回戦に進出した。二回戦は準決勝でもある。 今度の相手「と金倶楽部チーム」は見るからに強そうだった。将棋の強さは顔ではわからな...
アサ子は人差指の腹で歩を一つ前に押し出した。なれないから、きれいにピシッと打つなんてことはできない。 (一生けんめいやって負けてもくやしい...
電話からもどったトモアキは口をとがらせていた。 「なってねえよ。ママさんが出てさ、ヒロキはまだ寝てます、だってよ」 「寝てますじゃねえだ...
「え、なんでぇー? 四年生でしょ。一人で行けるよ」 「ついてってあげなさい。トオルは一人で行ったことないんだから」 「ママの過保護」 ...