話題作の「ディスクロージャー・デイ」「オデュッセイア」、共に見ごたえがあった。
まず、スティーブン・スピルバーグの「ディスクロージャー・デイ」はSFかつサスペンスアクション娯楽映画の傑作。

監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:エミリー・ブラント ジョシュ・オコナー他
地球外生命体の研究をするウォーデックスという機関から機密ファイルを盗んだ男ダニエル(ジョシュ・オコナ―)と、地方テレビ局の女性天気キャスターマーガレット(エミリ―・ブラント)が機関のメンバーに追われる。
マーガレットは突然、天気予報中、未知の言語を話し出すなど、不思議な能力を持つ。二人は追跡から逃げ、最後は全米のテレビ局で驚愕する情報を生放送で開示(ディスクロージャー)する。
その内容は「未知との遭遇」(1977)が描いた一歩先のことだ。即ち、「宇宙人とのコンタクト」だが、その単純なテーマや楽天性は、正直、中学生並みの発想とも言えるだろう。
しかし、列車が絡むカーチェイスや、全編のサスペンスに満ちた展開が素晴らしい。名手ヤヌス・カミンスキーの撮影も良く、映画的興奮はスピルバーグならでは。80歳とは言え、やはり超一流の映画テクニックを持つ監督だ。

「オデュッセイア」監督:クリストファー・ノーラン 出演:マット・デイモン アン・ハサウェイ他
クリストファー・ノーランの「オデュッセイア」は全編IMAXで撮影。「オデッセイ」は英語で「苦難の旅」、「オデュッセイア」はギリシア語。紀元前6世紀、ギリシアの詩人ホメロスが作った叙事詩だ。
「トロイの木馬」戦術で、10年かけてトロイとの戦争に勝利したイタケの王オデュッセウスが、また10年かけて部下と共に帰郷する苦難の旅を描く。オデュッセウスをマット・デイモン、その妻をアン・ハサウェイが演じている。
上映時間3時間弱。退屈することはない。見終わって、ノーラン天晴れ、マット・デイモン天晴れ、と思った。しかし、10分後にはすっかり頭から消えていた(笑)。
IMAXで見たが、スクリーンはデカいし大音響がスゴイ。でも、既に、普通の画面で何回か予告編を見ていたが、その時のおおっという感じを越えたかというと良く分からない。
勿論、幾つかのシーンは目を瞠る。例えば、一つ目の怪物キュプロクスが現われ、兵士たちが逃げ惑うシーン。怪物がデカくて臨場感たっぷりだ。監督はCGでなく、実際に10数メートル大の怪物を作って撮影した由。また、皆が荒海で船を漕ぐシーン、海の渦巻きのシーンも迫力ある。クライマックスだが、帰郷した城の中で、マット・デイモンが大活躍する、上の階と下の階を使うアクションシーンもいい。
それに、主人公がトロイの攻撃を後悔するシーンは、戦いの虚しさ、破壊の虚しさが感じられ、それは、今を生きる、即ち、世界中の戦争による破壊の様子を日々目にする自分の胸に突き刺さるところがあった。
物語は、現在が進んだり、回想が入ったり、いつものノーランのように、時間と空間をシャッフルした作りである。今回はむしろ分かりやすい。しかし、何か、もう一つ、足りない気もするのだ。
折角、広大な海、広い荒野、壮大な城内などが出て来るのだから、ダイナミックなカメラワークとか、ググっと来る雄大な映画的快感に満ちたショットとか撮れなかったか。IMAXって、ワンカットが2分少々しか撮れないらしい。だから、カットを割らざるを得ず長いショットが撮れない。カットが忙しくなるのだ。

「インターステラー」監督:クリストファー・ノーラン 出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ他
好きな映画をもう一本! 一番好きなノーラン監督の作品は「インターステラー」(2014)だ。近未来、砂嵐で農業危機に陥った地球を救うため、NASA宇宙探査プロジェクトにより、元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は移住できる惑星を求めて宇宙に飛び立つ。
彼は紆余曲折の末、ワームホールを抜けて地球に戻って来る。ワームホールとは「時空の虫食い穴」の事である(文系の自分はよく分からないが)
クーパーがたどり着いたのは、五次元の世界の、自宅の本棚の裏の空間。時差の関係で、少女だった娘マーフは、今は、中年の物理学者(ジェシカ・チャステイン)になっている。
この、娘にモールス信号で人類を救う情報を送るシークエンスが感動的である。また、その5次元空間(正確には5次元空間に、3次元をマッピングした無限空間)の映像が素晴らしい。
ラスト40分ほどは、画面にくぎ付けである。壮大なSFというだけでなく、家族の物語、仲間との連帯の物語でもあった。エモーショナルな感情を見る者に引き起こす。これこそが大傑作だ。
(by 新村豊三)