タイトルに「10」が付く映画あれこれ――「テン」「10人の泥棒たち」など

「ホテル暴風雨」10周年おめでとうございます。

風木一人オーナーから、タイトルに「10」を含む映画を紹介してほしい、と依頼を受けて考えてみた。

「十戒」

「十戒」

まず一番に思い出したのが1956年の「十戒」だった。言わずと知れた、旧約聖書を基にした、モーゼがヘブライの民を率いてエジプトを脱出するスペクタル映画。確か、再上映の1967年、中2の時に田舎の映画館で見た。
細部は何にも覚えていないが、チャールトン・ヘストン扮するモーゼが岩場で祈ると紅海が真っ二つに割れ民衆がここを渡って行くシーンだけは覚えている。
今調べると上映時間が約4時間でビックリ。

「テン」

「テン」

次は、1979年のアメリカ映画、その名もズバリ「テン」だ。これはお色気タップリのコメディ。カリフォルニアのビバリーヒルズに住む42歳の音楽家ジョージが、恋人はいるものの、偶然見かけた結婚式を挙げる花嫁に一目ぼれして、ハネムーン先のメキシコまで行ってしまう。ジョージは海で溺れそうになった夫の命を助けることになり、その後、その女性とベッドを共にしようとする……。
主役のダドリー・ムーアのコメディセンスが光っており、ゲラゲラ笑える。名曲「ボレロ」の使い方が映画的に秀逸。面白い台詞も多い。例えば「夫婦はセックスとケンカで盛り上がる」。

「テン」とは、主人公が精神科医のところに行き、医者から好きになった女性を「10点満点で言うと何点?」と聞かれるところから来ている。「イレブン」と返す答えも面白い。
花嫁はボー・デレク。確かに高身長、美人でプロポーション抜群である。

「10人の泥棒たち」

「10人の泥棒たち」

お勧めは韓国映画「10人の泥棒たち」(2012)。原題は「泥棒たち」で、「10」は入ってないが、映画が傑作なので許してほしい。
男女10人の窃盗団チームが、東南アジア各地でスマートに窃盗を繰り返す。冒頭の美術館のアクションシーンからしてスゴイ。クライマックスはマカオで20億円相当の「太陽の涙」と呼ばれるダイヤを盗もうとするシークエンスだ。

話が面白い上に、アクションが見ごたえある。例えば、釜山での、建物の壁を使ってのアクションシーンは、ホント、ハラハラドキドキする。
加えて、このメンバーを全て人気・実力のあるスターが演じている。チョン・ジヒョン(「猟奇的な彼女」)、キム・ヘス(「密輸1970」)、イ・ジョンジェ(「イカゲーム」)、キム・ユンソク(「チェイサー」)などである。
映画は大ヒットし、観客動員歴代8位を誇っている。

◇    ◇    ◇    ◇

次は、イタリア人監督パゾリーニの映画「デカメロン」(1971)。「デカメロン」というのは「10日」という意味。原作は14世紀に書かれたもので、10人の男女が10日間、1日1話、全百話を語る話。映画は8つのエピソードからなる。
実は、もう50年ほど前、飯田橋にあった佳作座という名画座で見たきりでほとんど覚えていない(今、ビデオもDVDもない)。映画評論家の故白井佳夫さんは、「パゾリーニは「デカメロン」で大きく、生と性の素朴で健康な謳歌へと、そのテーマをおしすすめた」と書いている。
「テオレマ」や「王女メディア」など難解な映画を撮ったパゾリーニの異色の映画で、もう一回見たいものだ。

同じ様に一度見ただけで、それ以後再見が出来ないのがイラン映画の巨匠アッバス・キアロスタミの「10話」(2002)である。この映画はドキュメントであり、車を運転する女性と、助手席に乗る人の会話で構成されていた。10人で10の話だった。中身をほとんど覚えておらず申し訳ない。

「死ぬまでにしたい10のこと」

「死ぬまでにしたい10のこと」

さて、「死ぬまでにしたい10のこと」(2003)が素晴らしい。スペインの女性監督がカナダ人俳優サラ・ポリーを主役にカナダで撮った作品。
23歳のアンは娘二人と夫と暮らしているが、癌で余命2、3か月の宣告を受ける。死ぬまでにやりたいことをノートに10個書き、実行してゆく。
リアルで繊細な演出がいい。お涙頂戴ではなく、深い感銘をもたらす映画。原題は、「My Life Without Me」。日本にも難病映画「余命10年」(2022)があり、2022/10/30の回で言及した。

新吾十番勝負

「新吾十番勝負」

邦画のタイトルに「10」が付く作品は多くないのではないか。ひとつ、「新吾十番勝負」(4部作 1959年より)という大川橋蔵主演の東映時代劇を思い出したが。
将軍吉宗の御落胤の剣士葵新吾の修業と成長を描く貴種流離譚。幼い頃、夏休みの夜、田舎の小学校校庭の野外上映で見て夢中になったチャンバラ娯楽映画。今、見直しても面白い。

(by 新村豊三)

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