<赤ワシ探偵シリーズ3>ノルアモイ第十話「依頼」by 芳納珪
「兵器とは? 大昔にあったという、戦争の道具ですか」 言いながら私は、無意識にいつも万能銃〈ムラマサ〉を装着している左脇をちらりと見た。今そこには何もない。 レディMが私の視線の動きに...
「兵器とは? 大昔にあったという、戦争の道具ですか」 言いながら私は、無意識にいつも万能銃〈ムラマサ〉を装着している左脇をちらりと見た。今そこには何もない。 レディMが私の視線の動きに...
レディMは話を続けた。 「F・フェアードマンは遺言の中で、逃げ出したノルアモイが再び立体都市に出現することを警戒せよ、見つけたら必ず捕らえて破壊せよ、と指示しました。ですので代々の当主は...
がちゃん! 瀬戸物が触れ合う大きな音がした。 驚いて自分の手元を見ると、しゃれたカップのふちから飛び出したコーヒーが、ソーサーの中と、そのまわりのテーブルの上を濡らしていた。 カップを置...
「それはありがとうございました」 私は立ち上がって頭を下げた。高級感あふれる上層の部屋で貴婦人を前にしているのだから、舞台俳優のようなお辞儀ができればよかったのだが、やり方がわからなかっ...
いい子にしないとノルアモイがやってくる。 青い炎のたてがみを猛々しくなびかせて。 その首は鋼鉄のように硬く、 両眼はペリドットのように光る。 ノルアモイは青い炎に焼かれ続けている。 だか...
「おい!」 私は小さく叫んで、グレコのあとを追おうとした。が、彼と私とでは身体の大きさが全然違う。グレコが通り抜けた隙間に、私は顔も入れることができない。 仕方なく、私が通れる隙間を探...
腕を組み、目をつぶって考え込んでいたグレコは、とつぜん「あーっ」と叫ぶと、帽子をつかみとって、両手でぐしゃぐしゃと頭をかきむしった。 「くそう、だめだ。うまく説明できる気がしねえ。俺が説...
「本当か!」 話を聞いてやると言った途端、占いねずみのグレコは目を輝かせた。それから、やけにしんみりした、遠くを見る目つきになった。 「俺、俺はよう……ロスコに拾われなけりゃ、死ぬ...
ちょうどそのとき、おかみさんが私の火星坦々麺を運んできた。 空腹が最高潮に達していた私は、グレコと名乗った占いねずみのことはそっちのけで、反射的に箸をとって坦々麺を食べはじめた。 縮れ麺に...
「やってるかね」 私は「月世界中華そば」の暖簾をよけ、引戸を開けて声をかけた。黄味餡みたいなおかみさんが、巨体をゆすりながら奥から出てきた。 「あら赤ワシのだんな、いらっしゃい。今...