栞の木(1)by 芳納珪

栞の木(1)by 芳納珪

しおり〔しをり〕【枝折(り)/栞】 1 紙・布・革などで作り、書物の間に挟んで目印とするもの。 2 簡単な手引書。案内書。「修学旅行の―」 3 山道などで、木の枝などを折って道しるべ...

鳥の民泊(その2)by 芳納珪

鳥の民泊(その2)by 芳納珪

2 適当に休憩しながら自転車を漕いで、多摩川についた。 土手のサイクリングロードに上ると富士山が見えて、思わずおーっと声が出た。 反対側の下流方向を見ると、民泊サイトに載っていた写真...

鳥の民泊(その1)by 芳納珪

鳥の民泊(その1)by 芳納珪

1 庭の柿の木にやってくるヒヨドリから、鳥が運営する民泊があると聞いた。 私の部屋は大家さんが住む家の二階にあり、入り口は独立しているけど、台所の窓が大家さんちの庭に面している。な...

サボテンラジオ(後編)by 芳納珪

サボテンラジオ(後編)by 芳納珪

そんな中、決定的な事件が起きた。ラディカルな発言で知られていたDJが自宅の場所を突き止められ、暴徒に襲われたのだ。容疑者がサボテンラジオリスナーであったことが報道されると、世論は一気にサボテンラジオ撲...

サボテンラジオ(中編)by 芳納珪

サボテンラジオ(中編)by 芳納珪

大学に進むころには、私のサボテンラジオ園はちょっとした名所になっていた。 ステージの中央には、サボテンラジオ第一号の「金鯱」と、第二号でパートナーの「弁慶」がなかよく並んで鎮座している。その周り...

サボテンラジオ(前編)by 芳納珪

サボテンラジオ(前編)by 芳納珪

五年生の夏休みに、サボテンラジオを作った。 バナナでもラジオは作れるが、二、三日で黒くなってしまうのが難点である。 その点サボテンは、鉢植えにすればずっと感度を保つことができるし、棘を...

庭師(後編)by 芳納珪

庭師(後編)by 芳納珪

さっき、どうして気づかなかったんだろう。 延段の石を、最近組み替えた跡がある。橋をかけたときに、いくつかの石を芝生側に移動したのだ。 その、芝生をはがして埋めた石のひとつが、ぽこぽこ動いている...

庭師(前編)by 芳納珪

庭師(前編)by 芳納珪

庭を見ればすべてがわかる。人の心や体は、庭とつながっているから。 毎日歯を磨くように、庭も毎日の手入れが肝心だ。だけど、どうしても気づかないうちに、パーゴラのすみに大蜘蛛の巣がはっていたり、木のうろ...

樹状世界(後編)by 芳納珪

樹状世界(後編)by 芳納珪

ハイイロの翅は、すさまじい力でニニエをつれさろうとする。 メメイは必死にしがみつく。 脚がちぎれるかと思ったとき、めり、と音がした。 ふたりのからだは飛び上がった。 あっ、と思って下を見ると、...