<赤ワシ探偵シリーズ番外編>山猫夜想曲◆第六話「黒蛇団のアジト」
部屋を出たジョーは、茶トラに先導されて暗い廊下を進み、階段を上がった。 並んだ扉の一つを茶トラがノックすると、中からくぐもった返事が聞こえた。 茶トラが扉を開けてうやうやしく礼をした。 「ボ...
部屋を出たジョーは、茶トラに先導されて暗い廊下を進み、階段を上がった。 並んだ扉の一つを茶トラがノックすると、中からくぐもった返事が聞こえた。 茶トラが扉を開けてうやうやしく礼をした。 「ボ...
ジョーは目を開けると、床に散らばる本の間に丸めていた体をにゅーっと伸ばした。時刻は午後9時。いい頃合いだ。 いつものように寝ぼけまなこのまま、タバコに火をつける。深く吸うと、少し頭がはっきりした。 ...
部屋の真ん中にすっと立っているのは、じつに奇妙な代物だった。紫色に光る紐が、空中に一筆書きで、落書きのようなヒトガタを形作っているのだ。 ジョーが「誰だ、お前は?」と問いかけると、ゆらゆらとたよりな...
ジョーは夜ごと、他の猫たちの縄張りを荒らしては、因縁をつけてくる相手をコテンパンにぶちのめした。その所業は路上に知れ渡るようになり、ついにある夜、いくつかの猫集団がジョーを懲らしめるために集結...
カテリーナは、水玉模様のティーポットカバーを楽しそうに眺めた。ジョーはバーテンダーだが、料理もできるし、こうして本格的にお茶を入れることもできる。 「前にもそんなことを言ってたわね。『リカ・アム...
すべての客がいなくなり、後片付けがすっかり終わっても、バー「山猫軒」の店内には、熱狂の余韻がまだ残っていた。 路地奥の暗がりにあるひっそりとした店だが、立体都市でいま一番人気の歌姫、カテ...
足の下を雲が流れていく。最初は気がつかなかったが、この屋上は極めて屈折率の低い透明なドームに覆われているようで、強い風にさらされることもなく、快適な気温と湿度が保たれている。 素晴らしい食事のあ...
純白の紙に箔押しが施された瀟洒な招待状を見せると、ガードロボットは優雅に一礼してドアを開けた。 バーコードも印刷されていないし、紙に透かしも入っていないが、本物のレディMからの招待状であることを、ガ...
立体都市最古の家系のひとつ、フェアードマン家の現在の当主と200年前の当主が、対峙している。 町並みを形成する構造ユニットの屋上に立ったレディMは、背中に背負った筒状の装置を前に回すと、...
私は目をしばたいた。 確かに狙ったはずなのに、いま引き金を引いた万能銃〈ムラマサ〉の先が、フェアードマン卿から1メートルも横にずれている。 私は再び、フェアードマン卿の眉間に照準を合わせた。 ...