塵ひとつ 1/4話(出典:碧巌録第六十一則「風穴若立一塵」)

寺院を建立して一宗をうち立てるのは、「教祖」のお仕事です。

龍と蛇を区別するように物事にキッパリと白黒つけてまわるのは、「禅の達人」のお仕事です。

剣刃で切り結ぶような剣幕で生死を論じたり、やたらと棒で叩いてくる師匠の機鋒の善し悪しを見抜いたり・・・という話はさておき、この世の全てを動かしているのはいったいどんな人なのか、一緒に考えてみましょう。

かつて風穴和尚は言いました。

「たとえ塵ひとつのような小さなものでも、それがしっかりと定まったならば、整然と統率のとれた法治国家が成立する。
逆に塵ひとつですら定まらないというのであれば、整然と統率のとれた法治国家は成立しない。」

・・・どこかで聞いたことがあるような話ですね。

ここで言うところの「国家」って、きっと何かの譬えなのだと思うのですが、果たして何の譬えなのでしょうか?

雪竇和尚はこの話を弟子たちにした後、棒を振りかざしてこう叫びました。

「さあ! 国家の興亡と運命を共にするヤツがおるなら出てこいや!!」

・・・こんなことを言われてノコノコ出て行こうものなら八百回ぐらい棒で叩かれそうですが、出て行かなかったら行かなかったで三千回ぐらい叩かれそうですよね。(苦笑)

そもそもここで風穴和尚は「塵ひとつ」が「定まる」のがよくて「定まらない」のが悪いと主張したいのでしょうか?

そりゃ「定まる」方がよいに決まってるでしょ? と言いたくなるところですが、実はここは慎重に検討せねばならないところなのです。

よく言うではありませんか。

「たとえ言われる前に悟ったとしても、殻に閉じ込められたようなもの。
言われてすぐに悟ったとしても、カンチガイ野郎の謗りは免れない。」、と。

―――――つづく

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