「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国

とても遠い遠い海の先、そこに「あいうえお」の国がありましたとさ。
「あいうえお」の国には「あ」と「い」と「う」と「え」と「お」が住んでいました。
みんなは、とても仲良く何百年も暮らしていたそうな。

「あ」と「い」が結婚をして「あい」が生まれました。
「い」と「え」が結婚をして「いえ」が出来ました。
「う」と「え」が結婚をして「うえ」ができたのです。

さてさて、「あいうえお」の国の隣には「かきくけこ」の国がありました。
「かきくけこ」の国は「か」と「き」と「く」と「け」と「こ」が住んでいました。

「か」と「き」が結婚をして「かき」が出来ました。
「き」と「く」が結婚をして「きく」が咲きました。
「こ」と「け」が結婚をして「こけ」が生えました。

しかし、どういう訳か「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国はとっても仲が悪かったのです。
いつも、この二つの国は言い争いをしていました。

「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国の間に「ん」という島がありました。
「ん」の島には「ん」が住んでいました。
「ん」は一人ぽっちで何百年も暮らしています。

「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国は「ん」の島は自分の島だと主張していたそうです。
「あの島は私たちの島だ!高い金を払って買った島だからな!」
と「あいうえお」の国は言います。
「いや、あの島は私たちの島だ!だって歴史の教科書にも、あの島は私達の島だと書いてあるからな!」
と「かきくけこ」の国は言っていたのです。

このようにして「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国は長い事争っていました。

ある時、「かきくけこ」の国から「こ」が「あいうえお」の国へ留学でやってきました。
同じ学校へ行っていた「い」が「こ」の事を一目で好きになりました。
「こ」も「い」の事が好きになりました。
「こい」が生まれました。
でも二人は結婚をする事が出来ません。
みんな二人の結婚には反対をしていたからです。
悩んだ「こ」と「い」は「あいうえお」の国を出て「ん」の島へとやってきました。
気の毒に思った「ん」は「こ」と「い」を島に住ませてあげる事にしました。

「こ」と「い」と「ん」は長い事とても仲良く暮らしました。
そんなある日の事。
「ん」の島で「いんこ」が生まれました!
「いんこ」は空高く、空高く飛び立ちました。
「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国は空を飛ぶ「いんこ」を見て驚きました。
今までそんな物を見た事がなかったからです。

それを見たそれぞれの国の住人は、お互いの国の住人と結婚を始めました。
「あ」と「き」が結婚をして「あき」が出来ました。
「か」と「お」が結婚をして「かお」が出来ました。
「え」と「き」が結婚をして「えき」が出来ました。
「あ」と「ん」と「こ」が結婚をして「あんこ」も出来ました。

でも良い事ばかりじゃありません。
「け」と「ん」と「か」が結婚をして「けんか」も始まりました。
それでも「あいうえお」の国と「かきくけこ」の国はとても仲良くなりました。
「ん」の島も、もう寂しくありません。

時が経ち、ふたつの国は「さしすせそ」合衆国や「はひふへほ」共和国や「らりるれろ」や「やゆよ」の島とも仲良くなりました。

「あ」と「さ」が結婚をして「あさ」が来ました。
「ひ」と「る」が結婚をして「ひる」になりました。
「よ」と「る」が結婚をして「よる」になりました。

「すき」も生まれましたが「きらい」も生まれました。
色々と大変な事も生まれましたが、どの国もとても賑やかにになり豊かになったそうです。

――――完

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