2週に渡り実施していた『誰かのために 総括アンケート』への御回答、ありがとうございました。
おかげさまで先日、回答を締め切らせて頂きました。
(なお、アンケートは、この後もそのまま回答できる状態にしていますので、今後も「回答してもいいよ」と思った方は、是非、御回答ください。先々週と先週更新分のページにリンクがあります)
今回は、その結果を皆様に御報告すると共に、『誰かのために』の振り返りおよび次回作についてのご案内をさせて頂きたく存じます。
以下、結果です。
回答期間:2024/10/21~2024/10/31
回答総数:8名
質問1、2によると、アンケートに答えて下さった方は、ほぼ『誰かのために』を読んで下さっており(8名中7名)、ほぼ毎回欠かさず読んで下さった(7名中6名。他1名無回答)と言えるでしょう。本当にありがとうございます。とても嬉しいです。励みになります。
そして、注目の質問。
『誰かのために』の主要な登場人物の中で気になった人はいたか?の問いに6名の方が「いた」とお答えくださり、
最も気になった人は誰か?の問いに、複数回答を可能として回答していただいたところ、1人で5名も気になってくれた方もいらっしゃいました。
中でも、最も気になられた登場人物は……
なんと! あの「中井奈央子」さんでした。
覚えていない、あるいは読んでいない人のために、簡単に説明を加えると、公共サービスの独占利用を果たし、周りに糾弾されてもなお悪びれず、意志を貫く謎めいた女性です。物語後半での鮮烈な?再登場も、皆さんの印象に強く残ったのでしょうか。
そのうち、彼女を主人公にした物語を作ってみるのもいいかもしれません。
……あれ? でもなんか変です。小田原泉さんのグラフが2つあるではありませんか!
データを確認したところ、なぜかGoogleフォーム、小田原さんへの回答を二つに分割して集計ていました。かくして、小田原さんと中井さんは同票の4票でした。あららら。
それにしても、ほぼ出ずっぱりの主人公と同じくらい、読者の気を引くなんて、やはりただものではありませんね、中井奈央子。
次の問いは、これまた個人的には興味津々のものです。
柏の宮町の町外れで老夫婦がひっそり作っている〝幻の〟林檎。その味はいかなるものか?
皆様の回答の中で、最も多かったのは「その他」の回答でした。「既存の林檎では、その味を表すことができない!」という、強い思いなのでしょうか。確かに〝幻〟ですもんね。実際の回答を拝見すると、
・小ぶりで甘さ控えめ、香りがさわやか
・みずみずしく桃や梨を彷彿とさせる味わい
・極甘赤ワインみたいな味
でした。もし、ここにリンゴ農家の方がおられたら、品種改良の際などに、是非参考になさってみてはいかがでしょうか。私も是非、味わってみたいです!
次いで多かったのは、「ぐんま名月」。2名の方が投票されました。
ぐんま名月(名月)は、「あかぎ」と「ふじ」を掛け合わせ、群馬県で開発された晩生の品種で、黄色い林檎の割には蜜が多く、ジューシーでサクサクした食感が楽しめる、美味しい林檎です。日が当たったところだけ赤く色を染めるのも、可愛いです。あまり知られていなかったけれど、最近、道の駅などでちょこちょこ見かけるようになってきました。
実は私も、知り合いに頂き、まさに今、食したところでした。
ただ、保存にはあまり適さないらしく、冷蔵庫で冷やして頂くのがよろしいようで。(そうとは知らず、暫く常温で放置してしまった……。名月、そのポテンシャルを引き出してあげられなくてごめん。でも美味しかったよ)
他2名の方は、「ふじ・サンふじ」と「シナノスイート」でした。
これも美味しいですよね。ちなみに、サンふじとかサンつがるのように、既存の品種に「サン」と付いた品種があるのを、皆様ご存知でしたか?
私はこの投票の選択肢を作る時に、それらの存在を知りました。林檎に袋をかけないで育てたものを「サンほにゃらら」というらしいです。「サン」なしは過保護の林檎ちゃんで、「サン」ありは放任の林檎ちゃんなのですね。
さて、まさに授業評価的な、『誰かのために』の〝通知表〟に戻ります。
一番左の回答結果は『誰かのために』を読んだ感想(0:時間を返せ!~4:おもしろかった!)です。回答して下さった方は皆、楽しんでくださっていたようで、胸を撫で下ろしました。ちなみに、この作品を一番最初に読んでもらった家族には、まさに0の「時間を返せ!」と言われたので……。
また、真ん中のグラフは、『誰かのために』を読んだことのなかった方への質問で、なぜ読まなかったのかの理由を問うたものです。お答えは「知らなかった」。
なら仕方ない。もし嫌でなければ、是非読んでみてください。
一番右のグラフは、『誰かのために』の分量に関する問いです。
実はこのお話は、昨年某文学賞に応募した作品で、今回、それを部分的に修正しながら細切れに更新したものでした。応募原稿にはかなりの誤字・脱字もあったので(例えば、竹林が途中から村林になっていたり……汗)、それらをきっちり修正すると共に、かなり手を加えて直した箇所もありますが、本来、一気に流れていた物語を、一週ごとに読んでいただく分量に区切ることは、私にとってなかなかの難問でした。
ホテルオーナーと相談し、模索しながらの更新だったので、「適量だった」の回答結果には、心底胸を撫で下ろしました。ありがとうございます。
次の4つの質問は、この8080号室で綴る、もう一つのコンテンツ『心を紡いで言葉にすれば』に関するものです。
『誰かのために』は小説形式で綴る私の内言ですが、『心を紡いで言葉にすれば』はエッセイ形式で綴る私の内言です。毎回、何か一つのテーマについて心理学的なアプローチを試み、小説で描かれた内容への補足解説的な役割も担っています。
今回、回答を寄せて下さった皆様の7割(7名中5名。1名は無回答)は『心を紡いで言葉にすれば』をご存知で、大体いつも読んで下さり、かつ、『誰かのために』を読む際に「参考になった」と思ってくださったのですね(いずれも5名中4名。他3名は無回答)。ありがとうございます。参考になったのであれば、本当に良かったです。
さらに、『誰かのために』と『心を紡いで言葉にすれば』のどちらがお好みかという問いには、『誰かのために』が2名、『心を紡いで言葉にすれば』が1名、どちらも好きが1名、わからないが3名でした。ありがとうございます。
自由記述の回答にも、いろいろコメントを寄せていただき、ありがとうございました。
急展開に驚かれた方が数名いらして、「確かになあ……」と思ったり、これが私の癖なのかもしれないなあと思ったりしました。「喜んで読みに来ていた」という涙が出るほどうれしいコメントをくださった方もいらして、本当に本当に、このアンケートを実施してよかったと思いました。
「善人か悪人かわからないところが鮮烈でした」というコメントにも、ニヤリとしました。
良かれと思ってしたことが、ひどく相手を傷つけてしまうことや、悪だくみの限りを尽くして人を貶めようとしたことが、自分自身を罰することになったり、私は子どもの頃から、善悪を決めるのって難しいなあと思っていました。
善い人(と思っていたの)が性悪だったり、悪気のない悪意を持っていたりすることは多々あるし、悪人(と思っていた人)が意外と優しかったり、道理に合っていたりすることもある。人はその場の状況によって心を変えるから、善人と悪人の間の線引きは、そう容易くできるものではないことが多い。
そもそも私には、世の中の出来事のそもそも何が正しくて、何が間違っているのかを決めるのが難しい。
もちろん、そのために法律があるのだろうし、いつだって法を順守することが善だとも思います。でも、果たしてそうなのだろうか。
実は『誰かのために』の構想は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発しています。
戦争や紛争は、いつだって、その国の道理で進む。それをしている最中、人は、自分が間違っているとは思わないのでしょう。そこにある善悪って、一体何なんでしょうか?
わからないのです。それは、今、中東で起こっているジェノサイドにも通じる問いです。
まさか、この小さな町で起こっている幻の林檎争奪戦が、こんな大それたテーマとリンクするなんて! 私も驚いています。まあ、もっと気楽に目を通してくだされば、無上の喜びです。
皆様、本当にありがとうございました!
さて。次の長編をお届けする前に、ちょっとした小編をお届けできればと思っています。
先週の雪だるまのお話でも出てきた亡き父に捧げた、ちょっと変わったところに住むサイが主人公の物語です。乞う!ご期待。
(by 大日向峰歩)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
今回は、小説『誰かのために』を総括する授業評価的なアンケート(小説とアンケートについては前々回の記事もぜひごらんください)の集計結果でした。ご回答くださった方、ありがとうございました!
集計結果には反映されませんが、今後も回答可能なアンケートは
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