宮﨑徹先生がAIM30について語ったこと

「A-30」の本体は「L-シスチン」

2022年3月30日に、AIM医学研究所サイトに宮﨑徹所長のコラム「AIM活性化成分配合のペットフードについて」が掲載された。
3月1日に株式会社マルカンから発売された「AIM30」についてネット上で様々な意見があることを受け、それに応えるために書かれた文章だ。

「色々なご意見をSNS上で拝見しており、私自身が、研究者としての立場から少しご説明をするべきと判断」と冒頭で述べられている。
AIM30は猫の腎臓にやさしい新しいキャットフードとして極めて注目度が高いにもかかわらず情報がとても少なかったので、開発の中心者である宮﨑所長本人から直接説明を受けられるのは嬉しい。

いつもながら宮﨑先生の文章は簡潔でわかりやすく、もやもやしていたことがいくつかはっきりした。
まず、AIMを活性化する成分「A-30」の本体は「必須アミノ酸であるシステインが2個結合した形のL-シスチン」であること。
L-シスチンは従来から食品添加物として使われており、安全性が確認されていること。
L-シスチンは「AIMとIgMの結合を担っている2か所のうち、ジスルフィド結合という強固な方の結合を化学的に切る作用がある」こと。
猫にAIM30をあげようか検討している一般の人が、このような情報を充分理解するのは難しいが、重要な情報が公開されていることはそれだけでも安心につながる。

AIMを活性化するキャットフードをまず一般食(総合栄養食)として作ったのは「L-シスチンを配合したペットフードを、どこででも買える安価な商品として、できる限り速やかに愛猫家に届けられるようにしたかったことが最大の理由」で、「L-シスチンの予防効果や軽度の腎臓病の抑制効果を臨床試験で確かめるのには数年間かかってしまう」そうだ。
「療法食としての開発を進める一方で、既存の療法食と併用できる、サプリメントのようなペット用食品を作れないか工夫しております」とあるのは療法食やサプリメントを求める声へのお返事だろう。

多くの人が知りたい「療法食を食べている猫のごはんをAIM30に切り替えていいのか?」という疑問には「獣医の先生に相談することなく、お使いの療法食を止めてこのペットフードに切り替えることはお控えください」と明言されている。
これは過去に雑誌やネットのインタビューで宮﨑先生がおっしゃってきたことと同じだが、すぐ流れてしまいがちな場でなく、AIM医学研究所サイトにいつでもだれでも読める形で掲載されたことに大きな意味があると思う。

こんな話題もあった。
「AIMを活性化させたりAIMを加えたりすることが、動脈硬化や糖尿病を悪化させてしまうことを懸念したご意見をSNS上で拝見しました」
ネット上ではAIMの副作用を心配する声もあったらしい。それに対して、現在までの研究では副作用はないと思われることと、その理由を述べておられる。簡単とは言わないが、ぼくでもなんとかわかる程度の文章だ。

「AIM活性化成分配合のペットフードについて」

宮﨑先生自身のことばでAIMについて語っていただくのは最も間違いのない情報だし、AIM30の情報がまったく乏しかった今回の状況では必要だったと思うけれど、あまり宮﨑先生ご本人に説明を求めるのは違う気がする。研究に集中していただくことの方が圧倒的に重要だろう。

ご著書や過去のインタビュー、今回のコラムを見れば、筋道はほぼ明らかにされている。一般食であるAIM30に続いて、療法食もサプリメントも開発中で、もちろんその先にはAIM製剤があるのだ。
猫を愛するものとしては応援しながら待つしかない。

猫のためにウマ娘

4月4日に、あっと驚くニュースがあった。Cygames(サイゲームス)が宮﨑先生のAIM研究に資金提供するという。

AIM研究、サイゲームスが財政支援 ネコ腎臓薬開発の宮崎徹氏研究が加速

サイゲームスは大ヒット中の「ウマ娘 プリティーダービー」などで知られるゲーム会社。
「同社は研究の趣旨に賛同し、直接の見返りを求めず「AIM研究に役立てる」ことだけを条件に寄付を行うという。」

素晴らしい! サイゲームスの社長さんが猫愛のある人なのだろうか。
「ウマ娘」、名前しか知らなかったけど興味が湧いてきたぞ。

猫のためにウマ娘(笑)

(by 風木一人)


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