『ぬいぐるみおとまりかい』が世界に広がりますように。絵本もリアルイベントも。

『ぬいぐるみおとまりかい』のイタリア語版が届いた

『ぬいぐるみおとまりかい』(作・風木一人 絵・岡田千晶 岩崎書店)のイタリア語版が届いた。
3月に刊行されて今ごろ届くのは遅いけれど、海外版の献本が遅れることはじつはよくある。岩崎書店の担当さんからも「だいぶ先になると思います」とあらかじめ聞いていた。昨今はコロナ禍やウクライナの戦争の影響もあるのかもしれない。

現物を手にするのはとてもうれしい。イタリア語は全然読めないけれど、そんなことは関係なくうれしい。ああ、これを遠い国の子どもたちが読んでくれるんだなあとしみじみ思う。

『ぬいぐるみおとまりかい』はこれまでに中国、韓国、フランスでも翻訳出版されている。
いろいろな国の出版社からオファーが来る理由はまずなんといっても岡田千晶さんの絵が抜群にすばらしいからだろう。ぬいぐるみも子どもたちも本当にかわいい。このかわいさはたぶん万国共通なのだ。

奥が左からフランス語版、イタリア語版、韓国語版。手前が中国語版と日本語版 。

奥が左からフランス語版、イタリア語版、韓国語版。手前が中国語版と日本語版 。

もう一つの理由は「図書館の本」だからではないかと思う。出版に関わっている人間はたいてい本が好きだし、図書館も好きだ。図書館が舞台と聞けばまあそれだけで好感度アップである。
さらに『ぬいぐるみおとまりかい』は単に図書館が舞台なだけではなく、実際に行われている図書館イベントをモデルにした絵本だ。
ぼくは2010年に「stuffed animal sleepover(ぬいぐるみのおとまり会)」というイベントがアメリカの図書館で行われていることを知りこの絵本の着想を得た。
2014年に『ぬいぐるみおとまりかい』が刊行されたころには日本の図書館でも開催がだいぶ増えていた。
日米以外の国でこのイベントがどの程度広がっているかは、ほぼまったく知らないのだが、イベントをきっかけに絵本を知ってくれればうれしいし、逆にこの絵本をきっかけに実際のイベントが行われるようになってくれればそれもたいへん面白い。

イタリアでは出版社がいくつかの図書館や児童書専門店の協力を得て、リアルイベントを開催してくれた。写真も送ってもらった。

    

楽しいだけでなく、幼い子どもたちが本や図書館に親しむきっかけにもなるイベントだから、ぜひもっと世界中に広がっていってほしいものである。

(by 風木一人)

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