【 魔の帰巣人形 】(2)
帰巣とはなにか。「動物の帰巣性」という言葉がある。この場合の「動物」とは、虫や鳥や魚も含まれる。つまりミツバチや、ツバメや、サケなどにとって...
「魔」の一字をこよなく愛する筆者が語る様々な魔の話。垣間のぞくダークサイドをお楽しみください。
帰巣とはなにか。「動物の帰巣性」という言葉がある。この場合の「動物」とは、虫や鳥や魚も含まれる。つまりミツバチや、ツバメや、サケなどにとって...
カメラマンの友人がいる。私よりもふたつ年上で、いまインドで生きておれば(生きていると信じたい)65歳。体重54kg、身長171cmの痩せた男...
「あいつの女が殺ったらしい」 「……女?」 1週間前は「あいつが殺った」だった。しかも「現場のヤツらはみな知ってる」だった。1週間たって...
「あいつが殺ったんだ」 現場監督が口にしたのはキツネ男の名前だった。私はぶあついガラスのジョッキを口に運ぼうとしていたのだが、それが途中で...
現場に向かいつつあれこれ考えた。今日と明日でこのハードなバイトは終了だ。この最後の2日間のあいだに彼女を見かける確率はいったいどれほどなのだ...
「見たか?」 「……見ました」 「話したか?」 「……話してません」 我々は事務所にいた。長テーブルの端で調理パンと缶コーヒーを...
夜の空き地で犬が殺された。たまたまその現場近くに2人の男がいた。足場4階で涼んでいた私と、事務所脇の暗がりに潜んでいたキツネ男だ。2人とも気...
キリンラガーを飲みながらキツネ男の話を検証した。 彼の説明により、昨夜、彼がとった行動がはっきりした。彼は現場での仕事が完了した後、一旦街...
現場監督はさすがにほっとした様子だった。ひととおりの報告を聞きながら地面に向けて煙を吐き出していたが、報告が終わった時点で、くわえていたラッ...
現場監督は口ひげ、小太り、黒ブチ眼鏡、といった男で、私は好感を持っていた。当時……この話は1978年頃の話なので、かれこれ40年ほど前の話に...