
【 魔の帰巣人形 】(15)
「鬼の首でもとったような、という表現があるだろ?」 思わず笑った。 「わかるわかる。そりゃそういう気分にもなるよ。ついに探し当てたわけだ...
「鬼の首でもとったような、という表現があるだろ?」 思わず笑った。 「わかるわかる。そりゃそういう気分にもなるよ。ついに探し当てたわけだ...
たった1本のロウソクの炎。その輝きだけで見る人形はじつに不気味だった。しかしTTはロウソクの光だけでものを撮影したことがなく、その独特の揺れ...
「つまり老人がベッドに連れこんでいたのは、最初に見た人形以外の3体だった?」 TTは無言でうなずいた。「ああ」とか「うん」とか、そうした言...
「こんな光景を見たことがあるか?」とTTは言った。それは彼が実際に見た光景だった。津波災害により、山のように積まれた瓦礫とゴミの山。周囲を見...
「言葉がわからない。これはじつに辛いね」と私は言った。「……その場の状況を、だれからも説明してもらえない。情報不足でなにも判断できない。まし...
奥に小部屋があることはわかっていた。コブリッジを買おうとしたときに、老人が一度ひっこんだ部屋だ。老人はその部屋から再び出てきた時に、紐で通し...
婦人はドア脇の窓に歩み寄った。窓のガラス越しに室内を覗くのかと思ったがそうではなく、格子に手をかけて手前にギイッと開いた。 TTは驚いた。...
それはまるで次の瞬間には草原の闇にはかなくフッと消え去ってしまう蛍の燐光のように見えた。時々明滅しているように揺れて見えるのは、やはり電気で...
「それで……丘の上の教会を見上げつつハアハアと息をきらせながら坂道を登っていたときなんだけどね」 TTはどこか影のある笑みを見せた。彼がと...
「妙だな。じいさんが出て行くところは見なかったぞ」 「……あ、裏口か!」 TTはすぐにパン屋の裏に回った。果たしてドアがあった。ドアノブ...