【 魔の帰巣人形 】(18/最終回)
なにかに蹴つまずいた。慎重に接近したつもりが、やはり光の行方に気をとられていたせいかもしれない。そこは墓場の入口あたりだった。周囲がなにかで...
「魔」の一字をこよなく愛する筆者が語る様々な魔の話。垣間のぞくダークサイドをお楽しみください。
なにかに蹴つまずいた。慎重に接近したつもりが、やはり光の行方に気をとられていたせいかもしれない。そこは墓場の入口あたりだった。周囲がなにかで...
少し話題が途切れた。TTが焼き鳥を眺めつつ笑った。 「食事時にする話としては……」 「まあ最悪だね」 しかし嫌悪感で食事がまずくなるよ...
教会周囲の夜景を見たいと思った。とはいえ、こんな真夜中に城塞のような教会内で迷ってしまったら大変だ。右手に握っている懐中電灯が心強かったが、...
「鬼の首でもとったような、という表現があるだろ?」 思わず笑った。 「わかるわかる。そりゃそういう気分にもなるよ。ついに探し当てたわけだ...
たった1本のロウソクの炎。その輝きだけで見る人形はじつに不気味だった。しかしTTはロウソクの光だけでものを撮影したことがなく、その独特の揺れ...
「つまり老人がベッドに連れこんでいたのは、最初に見た人形以外の3体だった?」 TTは無言でうなずいた。「ああ」とか「うん」とか、そうした言...
「こんな光景を見たことがあるか?」とTTは言った。それは彼が実際に見た光景だった。津波災害により、山のように積まれた瓦礫とゴミの山。周囲を見...
「言葉がわからない。これはじつに辛いね」と私は言った。「……その場の状況を、だれからも説明してもらえない。情報不足でなにも判断できない。まし...
奥に小部屋があることはわかっていた。コブリッジを買おうとしたときに、老人が一度ひっこんだ部屋だ。老人はその部屋から再び出てきた時に、紐で通し...
婦人はドア脇の窓に歩み寄った。窓のガラス越しに室内を覗くのかと思ったがそうではなく、格子に手をかけて手前にギイッと開いた。 TTは驚いた。...