【 魔の目撃 】(5)
現場監督は口ひげ、小太り、黒ブチ眼鏡、といった男で、私は好感を持っていた。当時……この話は1978年頃の話なので、かれこれ40年ほど前の話に...
「魔」の一字をこよなく愛する筆者が語る様々な魔の話。垣間のぞくダークサイドをお楽しみください。
現場監督は口ひげ、小太り、黒ブチ眼鏡、といった男で、私は好感を持っていた。当時……この話は1978年頃の話なので、かれこれ40年ほど前の話に...
建築現場における私の仕事はまさに「日雇い」だった。朝の7時に現場に行き、現場監督からその日の指示を受ける。それまでは全くわからないし、わかる...
無言と緊迫。たぶん10秒ぐらいだった。しかしそのとき感じた時間。それはもう長かった。 双方ともに暗闇の中で五感を総動員させ、相手の気配を探...
そこは想像以上に気分のよいところだった。もう一度周囲を見回してだれもいないことを入念に確認し、私は足場の4階に座りこんだ。手の甲で額の汗をぬ...
大学生時代には「まあずいぶん色々なバイトをやったものよ」といまでもなつかしく思い出すことがある。 中学生の家庭教師、石膏デッサン教室の講師...
「わかった。認めよう」と私は言った。 「……人は死んで、別の人に生まれ変わる。肉体は滅びるが、魂はそこから抜け出してしばしさまよい、やがて...
ふと脳裏に浮かんだ光景があった。記憶が曖昧だが、テレビで見た1シーンだ。場所は日本ではなく(たぶん)インドで、寺院を建設(あるいは改修)して...
「正直に答えてほしいのだけど」と占い女が言った。 「いつもいつも正直に答えてる」 「そういうふうにシャアシャアと言う人は信用できないのよ...
ふと聞いてみたくなったことを、そのままぶつけてみた。 「過去生、知ってるのか?」 「少しは」 「覚えてたのか?」 「全然ダメ」 ...
黒ユリ、黒キノコ、黒ボブの3魔女は過去生を信じている、というよりも過去生を研究している。特に熱心なのは黒キノコで、彼女はそのことですごく残念...