【 魔の帰巣人形 】(13)
「つまり老人がベッドに連れこんでいたのは、最初に見た人形以外の3体だった?」 TTは無言でうなずいた。「ああ」とか「うん」とか、そうした言...
「魔」の一字をこよなく愛する筆者が語る様々な魔の話。垣間のぞくダークサイドをお楽しみください。
「つまり老人がベッドに連れこんでいたのは、最初に見た人形以外の3体だった?」 TTは無言でうなずいた。「ああ」とか「うん」とか、そうした言...
「こんな光景を見たことがあるか?」とTTは言った。それは彼が実際に見た光景だった。津波災害により、山のように積まれた瓦礫とゴミの山。周囲を見...
「言葉がわからない。これはじつに辛いね」と私は言った。「……その場の状況を、だれからも説明してもらえない。情報不足でなにも判断できない。まし...
奥に小部屋があることはわかっていた。コブリッジを買おうとしたときに、老人が一度ひっこんだ部屋だ。老人はその部屋から再び出てきた時に、紐で通し...
婦人はドア脇の窓に歩み寄った。窓のガラス越しに室内を覗くのかと思ったがそうではなく、格子に手をかけて手前にギイッと開いた。 TTは驚いた。...
それはまるで次の瞬間には草原の闇にはかなくフッと消え去ってしまう蛍の燐光のように見えた。時々明滅しているように揺れて見えるのは、やはり電気で...
「それで……丘の上の教会を見上げつつハアハアと息をきらせながら坂道を登っていたときなんだけどね」 TTはどこか影のある笑みを見せた。彼がと...
「妙だな。じいさんが出て行くところは見なかったぞ」 「……あ、裏口か!」 TTはすぐにパン屋の裏に回った。果たしてドアがあった。ドアノブ...
ようやく老人が出てきた。窒息気分のTTはため息をついた。 老人が手にしていたのは葉書程度の小さな紙だった。低く聞き取りづらい声でボソボソと...
「薄暗い部屋だったので……窓から入ってくる日光が雲でゆらゆらと揺れたりとか、空中を漂ったチリとかホコリがキラキラと光ったりとか……そういうの...