版画とちいさなおはなし(22)

「模様のないきりん」

「模様のないきりん」

きりんは花壇に行って、バラに尋ねました。
「きみの花びらを貸してくれない? 体に貼り付けて模様にしたいんだ」
「私の花びらは全部私のものよ。貸すなんてとんでもないわ」

きりんは海に行って、イカに尋ねました。
「ぼくに墨を吹きかけてくれない? 体に模様を描きたいんだ」
「怒ったときにしか墨は出ないんだ。だから無理だよ」

望みを叶えられないまま帰ってきたきりんは、友だちのツチブタと空を見上げました。
ぷっかり浮かんだ雲が、風に流されてこまかくちぎれました。
ツチブタはきりんを見て叫びました。

「見てごらん!もようだよ」

きりんの体には、雲の影がまだらにうつっていました。

(版画・服部奈々子/おはなし・芳納珪)

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